【第20回】小規模事業者持続化補助金の制度変更を徹底解説|2026年申請前に必ず確認すべき6つの変更点

【第20回】小規模事業者持続化補助金の制度変更を徹底解説|2026年申請前に必ず確認すべき6つの変更点

2026年11月5日から、小規模事業者持続化補助金の第20回公募の受付が始まります。持続化補助金は公募回ごとに制度が見直されていますが、第20回は賃金引上げ特例の要件変更、広報費・ウェブサイト関連費の上限新設、審査項目の追加など、申請準備に直結する変更が複数あります。前回までと同じ感覚で準備を進めると、要件を満たせなかったり、予定していた経費が補助対象外になったりするおそれがあります。本記事では、最新の公募要領(第7版)をもとに、第19回からの変更点を新旧比較でわかりやすく整理しました。第20回での申請を検討している方は、ぜひ最後までご確認ください。

小規模事業者持続化補助金 第20回の基本情報

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画にもとづいて取り組む販路開拓や生産性向上の費用の一部を国が補助する制度です。対象者の規模要件が比較的ゆるやかで、個人事業主や従業員数名の会社でも使いやすく、小規模事業者にとって最も身近な補助金のひとつといえます。

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対象者・補助上限・補助率・スケジュール

項目内容
補助対象者小規模事業者(商業・サービス業〔宿泊業・娯楽業を除く〕:常時使用する従業員5人以下、宿泊業・娯楽業:20人以下、製造業その他:20人以下)
補助上限50万円(基本)/賃金引上げ特例+150万円/インボイス特例+50万円
補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
申請受付2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切2026年12月4日(金)

補助上限は基本50万円ですが、賃金引上げ特例を使うと150万円、インボイス特例を使うと50万円が上乗せされます。また、赤字事業者が賃金引上げ特例で申請する場合は、補助率が通常の2/3から3/4に引き上げられます。

受付期間は11月5日から12月15日までの約1か月強です。注意したいのは、申請に必要な事業支援計画書(様式4)の発行受付締切が、公募締切より早い12月4日(金)に設定されている点です。様式4は地域の商工会議所・商工会に発行を依頼する書類のため、実質的な準備期限は12月上旬と考え、公募開始を待たずに計画づくりへ着手しておくことをおすすめします。

第20回で変わった6つのポイント【新旧比較表】

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第20回では、特例の要件、経費のルール、審査基準、加点項目と、申請のあらゆる面で変更が入りました。まずは変更点の全体像を新旧比較表で押さえましょう。

変更項目第19回まで第20回
賃金引上げ特例の要件事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上に引き上げ1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加(赤字事業者は補助率3/4+優先採択)
広報費上限なし・単独申請可上限30万円(税込)・単独申請不可
ウェブサイト関連費補助金交付申請額の1/4(最大50万円)・単独申請不可上限30万円(税込)・単独申請不可は従来どおり
相見積の取得基準機械装置等の購入で100万円(税込)超の場合に2者以上発注総額(1件あたり)50万円(税込)超で2者以上。委託・外注を含む発注全般に拡大
テレアポ・営業代行の委託費対象外との明記なし補助対象外として明記
審査項目売上高・売上総利益の増加を問う観点などが追加
加点項目健康経営優良法人加点・地域別最低賃金引上げ加点が新設

それぞれの変更点について、順番に詳しく見ていきます。

① 賃金引上げ特例の要件が変更

これまで賃金引上げ特例(補助上限に150万円を上乗せできる特例)の要件は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高い水準へ引き上げることでした。第20回からは、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させることに変わります。

判定の基準が事業場内の最低賃金から給与支給総額の伸び率へと大きく変わったため、前回までに特例を使った事業者や、使うつもりで準備していた事業者も、自社の賃金計画で要件を満たせるかどうかをあらためて確認する必要があります。

一方で、赤字事業者がこの特例で申請する場合は、補助率が3/4に引き上げられ、さらに優先採択の対象にもなります。賃上げに取り組む赤字事業者にとっては追い風となる変更です。

注意したいのは、賃上げの義務が生じるのは賃金引上げ特例に申請する場合だけという点です。インボイス特例(50万円上乗せ)のみを使う申請や、特例を使わない通常申請(上限50万円)には賃上げ義務はありません。

② 広報費・ウェブサイト関連費は上限30万円に

経費面で多くの事業者に影響するのがこの変更です。

チラシやパンフレット、SNS広告などに使う広報費は、第19回まで上限がありませんでしたが、第20回から上限30万円(税込)となりました。あわせて、広報費だけで申請することもできなくなりました(第19回までは広報費単独の申請が可能でした)。

ホームページ制作やECサイト構築などのウェブサイト関連費は、これまで補助金交付申請額の1/4(最大50万円)が上限でしたが、第20回からは上限30万円(税込)に変わります。ウェブサイト関連費を単独で申請できない点は第19回から変わりません。

チラシ配布やSNS広告、ECサイト構築を中心に据えた計画を考えていた場合は、上限に収まるように経費構成を見直したうえで、機械装置の導入や店舗の改装、新商品開発といったほかの取り組みと組み合わせて、販路開拓の戦略全体を再設計する必要があります。

③ 相見積の取得基準が100万円超から50万円超に引き下げ

第19回までは、機械装置等の購入で100万円(税込)を超える場合に2者以上の相見積が必要とされていました。第20回からは、発注総額(1件あたり)が50万円(税込)を超える場合に2者以上の相見積が必要となり、対象も委託・外注を含む発注全般に広がりました。また、中古品を購入する場合は、金額にかかわらず2者以上の見積が必須とされています。

基準額が半分になり対象も広がったため、相見積が必要になる場面はこれまでより確実に増えます。見積の取得には時間がかかることも多いので、外注や委託を予定している場合は、発注先候補のリストアップと相見積の依頼を早めに進めておきましょう。

④ 営業代行の委託費が補助対象外に

外注費のうち、第19回ではテレフォンアポイントメント業務の委託に係る費用が対象外でしたが、今回から営業代行全般の委託に係る費用が、公募要領で補助対象外として明記されました。

販路開拓の手段として営業代行の活用を考えていた事業者は、計画の練り直しが必要です。また、外注費を計上する場合は、補助対象となる業務と対象外の営業代行業務を明確に区別し、申請書にもその内容がわかるように記載することが重要です。

⑤ 審査基準に売上増加の数値根拠を問う項目が追加

採択審査は、Ⅰ.基礎審査とⅡ.計画審査(加点審査)の2つで行われます。計画審査は、①経営状況分析の妥当性、②経営方針・目標と今後のプランの適切性、③補助事業計画の有効性という3つの観点で評価されますが、第20回から②と③に次の審査項目が追加されました。

②に追加された観点
・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みや弱みを踏まえており、売上高・売上総利益の増加を目指すものとなっているか。

③に追加された観点
・補助事業計画の効果は客観的事実に基づいて目標の設定がされており、売上高・売上総利益の増加を目指すものとなっているか。

・補助事業計画は具体的かつ客観的事実に基づいており、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。また、販路開拓を通じて売上高・売上総利益の増加を目指すものとして、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。

・補助事業により取得した資産について、補助事業終了後も継続して使用し事業展開に役立てることが明確になっているか。

変更項目第19回まで第20回
②経営方針・目標・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みや弱みを踏まえているか・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みや弱みを踏まえており、売上高・売上総利益の増加を目指すものとなっているか
③事業計画の実現性・補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。・販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。・補助事業計画は具体的かつ客観的事実に基づいており、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。また、販路開拓を通じて売上高・売上総利益の増加を目指すものとして、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
※項目無し補助事業計画の効果は客観的事実に基づいて目標の設定がされており、売上高・売上総利益の増加を目指すものとなっているか。 
補助事業計画には、技術やノウハウ、アイディアに基づき、ターゲットとする顧客や市場にとって、新たな価値を生み出す商品、サービス、又はそれらの提供方法を有する取組等が見られるか。 補助事業計画には、技術やノウハウ、アイディアに基づき、ターゲットとする顧客や市場にとって、新 たな価値を生み出す商品、サービス、又はそれらの提供方法を有しており、客観的事実に基づいた売上高・売上総利益の増加を見込める取組となっているか
※項目無し補助事業により取得した資産について、補助事業終了後も継続して使用し事業展開に役立てることが明確になっているか

つまり、やりたいことを並べただけの計画書は、これまで以上に評価されにくくなりました。この取り組みで売上がいくら増えるのかを、自社の客数や客単価などの客観的なデータを根拠に示すこと。これが第20回の計画書づくりの核心です。

⑥ 加点項目の追加(健康経営優良法人・地域別最低賃金引上げ)

加点項目にも追加があります。重点政策加点には健康経営優良法人加点が新設され、第19回の4項目から5項目に増えました。政策加点には地域別最低賃金引上げ加点が新設されています。

該当する事業者にとっては採択率を高めるチャンスですので、自社が使える加点がないか必ず確認しましょう。加点の全体像は次の章で解説します。

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採択率を上げる加点条件

加点は、重点政策加点と政策加点からそれぞれ1種類ずつ、合計2種類まで選択できます。2種類以上を選択すると加点審査の対象外になってしまうため、自社に有利なものを見極めて選ぶ必要があります。該当する加点を確実に拾うことが、採択率を高める近道です。

重点政策加点(5種類から1種類を選択)

加点項目概要
①赤字賃上げ加点賃金引上げ特例に申請する赤字事業者に自動適用。優先採択の対象
②事業環境変化加点ウクライナ情勢や原油価格・LPガス価格等の高騰、米国による相互関税の影響を受けている事業者
③東日本大震災加点福島第一原発事故により避難指示等の対象となった福島県12市町村に補助事業実施場所がある事業者、またはALPS処理水の風評影響の克服に取り組む太平洋沿岸部(北海道〜千葉県)の水産仲買業者・水産加工業者
④くるみん・えるぼし加点次世代法・女性活躍推進法に基づく認定(くるみん・えるぼし)を受けている事業者
⑤健康経営優良法人加点「健康経営優良法人」の認定を受けている事業者

政策加点(11種類から1種類を選択)

加点項目概要
①賃金引上げ加点1人あたり給与支給総額を年平均2.0%以上増加させる目標を設定・表明して取り組む場合(賃金引上げ特例〔赤字事業者〕の申請者には自動適用)
②地方創生型加点地域資源を活用する取り組み、または地域コミュニティの維持・活性化に資する取り組み
③経営力向上計画加点中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を取得済みの事業者
④事業承継加点基準日時点で代表者が満60歳以上かつ後継者候補が補助事業を中心になって実施する事業者
⑤過疎地域加点過疎地域に補助事業の実施場所がある事業者
⑥一般事業主行動計画策定加点女性活躍推進法または次世代法に基づく行動計画を所定のデータベースに公表している事業者
⑦後継者支援加点申請時において「アトツギ甲子園」のファイナリスト又は準ファイナリストになった事業者
⑧小規模事業者卒業加点補助事業終了時点で小規模事業者の定義を超えた従業員規模になることを目指す事業者
⑨事業継続力強化計画策定加点「事業継続力強化計画」または「連携事業継続力強化計画」の認定を取得済みの事業者
⑩令和6年能登半島地震等に伴う加点石川・富山・新潟・福井県内に実施場所があり、地震・豪雨被害を受けた事業者
⑪地域別最低賃金引上げ加点地域別最低賃金を上回る水準で従業員の最低賃金を引き上げている事業者

経営力向上計画や事業継続力強化計画のように、加点を受けるために認定の取得が前提となるものは、認定までに一定の期間がかかります。加点を狙う場合は、公募開始を待たずに認定取得の手続きを進めておくと安心です。

第20回の変更点に関するよくある質問

Q. 第20回からは賃上げをしないと申請できないのですか?

A. いいえ。賃上げの義務が生じるのは、補助上限に150万円を上乗せする賃金引上げ特例に申請する場合だけです。インボイス特例のみの申請や、特例を使わない通常申請(上限50万円)に賃上げ義務はありません。

Q. ホームページ制作だけで申請できますか?

A. できません。ウェブサイト関連費は単独での申請が認められておらず、第20回からは上限も30万円(税込)に変わりました。ほかの補助対象経費と組み合わせた販路開拓の計画として申請する必要があります。

Q. 過去の公募で採択された計画書と同じ書き方で大丈夫ですか?

A. そのままの流用はおすすめできません。第20回からは、売上高・売上総利益の増加を客観的事実にもとづいて示せているかという観点が審査に加わったため、過去に通った計画書でも、数値根拠が弱ければ評価されにくくなっています。最新の審査基準に合わせた見直しが必要です。

Q. 加点はできるだけ多く選んだほうがよいですか?

A. 選択できるのは、重点政策加点と政策加点からそれぞれ1種類ずつ、合計2種類までです。2種類以上を選択すると加点審査の対象外になるため、自社が確実に該当するものを選ぶことが大切です。

まとめ|第20回は計画書の質が採否を分ける

第20回の変更点をあらためて整理します。

  • 賃金引上げ特例の要件が、1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加させる内容に変更
  • 広報費・ウェブサイト関連費はともに上限30万円(税込)となり、単独申請も不可に
  • 相見積の基準が50万円(税込)超に引き下げられ、対象も発注全般に拡大
  • テレアポ等の営業代行業務の委託費が補助対象外として明記
  • 審査基準に売上高・売上総利益の増加を問う観点が追加
  • 健康経営優良法人加点・地域別最低賃金引上げ加点が新設

第20回は、要件・経費・審査のいずれも精緻化が進み、計画書の質がこれまで以上に採否へ直結する公募になりました。特に、売上高・売上総利益の増加にどうつながるのかを、客観的なデータにもとづいて定量的に示せるかどうかが大きな分かれ目になります。

補助金申請プロサポートでは、補助金の申請支援を行っており、豊富な支援実績にもとづいて計画書の作成から申請までを伴走サポートしています。第20回での申請を検討している方、自社が要件や加点に該当するか確認したい方は、初回相談は無料ですので、お電話またはWEBフォーム・公式LINEからお気軽にご相談ください。

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それでは次回の記事もお楽しみにしていてください!