ものづくり補助金の申請において、革新的な事業であることとともに重要となるのが「提案する事業(サービス)に実現性があるのかどうか」という事です。
事業計画書において「提案する事業(サービス)には実現性がある」ということを審査員にアピールすることは、採択率の向上に寄与する一因となると考えられます。
この記事では「実現性のある事業を申請するための7つのステップ」について、中小企業診断士として、ものづくり補助金の申請をコンサルタントしてきた経験を元に紹介します。
実現性を確認する7つのステップとは
結論からお伝えすると、次の7つのステップにて検討することがおすすめです。
- 現状の理解
- 社会から求められる役割の検討
- 課題の抽出
- 課題を解決する手段(新規事業や新規サービス)の提案
- 実施体制と実施工程の検討
- 事業実施後の将来の展望
- 事業実施後の収支計画の展望
それでは詳しく解説していきます。
現状の理解
まずは、これまでどのような事業に取り組んできたのか、どのような強みがあるのか、どのような点が社会に評価されているのか等、「現状を整理し、理解すること」に努めましょう。
具体的には、下記の項目までしっかり掘り下げ、自社の現状の深い理解に努めましょう。
・メインとなる顧客は誰か、想定している顧客は誰か?
・どのような価値を提供しているのか?
・昨今の社会情勢や価値観の変化、IT技術革新によりどのような影響を受けているのか?
社会から求められる役割の検討
現状を理解した次には、「今後、社会から求められる役割」の考察を行います。今後の社会情勢や顧客の価値観の変化を踏まえ下記の項目をしっかりと考察します。
・今後、消費者の価値観や社会サービスはどのように変化していくのか?
・将来の消費者のニーズはどこにあるのか?
・今後、自社にはどのような価値を提供していくことが求められているのか?
課題の抽出
続いて、今後、社会から求められる役割を実現するためには「どのような課題をクリアする必要があるのか」ということを抽出します。
課題の抽出に当たっては「課題が生じている原因」も含め、より具体的に抽出することが大切です。具体的には下記の項目になります。なるべく具体的に抽出していきましょう。
・今後の消費者の価値観に応えるために必要な取り組みは何か?
・そのために、現状不足している取り組みは何か?
・現状不足している取り組みの取り組みが不足している要因は何か?
課題を解決する手段(新規事業や新規サービス)の提案
これまでに、自社の現状と目指すべき将来像、将来像を実現するための課題が抽出してきました。
続いて「抽出された課題を解決するための手段」について考察します。この「解決するための手段」が「補助金を受けたい事業」という事になります。
ここではどんどんアイデアを出して、様々な手段を考察しましょう。
実施体制と実施工程の検討
ここからは、考察した課題解決のための手段の1つ1つについて、「その手段の実施体制や実施工程を深く検討」していきます。
組織体制、工程、資金計画等の様々な角度から検討することが必要で、具体的には以下の項目に関する検討が挙げられます。
・どれくらいの人材で実施するのか?
・どのような組織体制で実施するのか?
・どのような設備で実施するのか?
・どれぐらいの資金が必要なのか?
・必要となる資金や人材はどのように調達するのか?
・どのような効果が得られるのか?
上記項目に回答出来うるアイデアが見つかれば、次のステップに進むようにしましょう。
事業実施後の自社の展望
続いて検討するのは、考察した課題解決の手段を実施した後の自社の展望です。
ものづくり補助金の採択要件には、付加価値額や給与支給総額の向上等も含まれるため、考察した事業を実施した3から5年後には、自社の付加価値額等が所定の数値を達成することを説明しなければなりません。
ここでいう付加価値額は「売上高」や「原価(材料費、外注費及び減価償却費など)」に加え「販売費及び一般管理費」や「人件費」の影響を受けます。例えば、人件費であれば、考察した事業を実施する事によりどの程度給与が増加する見込みなのか事を数値で説明する必要があるわけです。
事業実施後の市場の展望
最後に、考察した事業を実施する事により、「顧客や社会、業界全体にどのような良い効果が波及していくか」という事を考察します。補助金の財源は税金であるため、長期的に見た時、社会や業界全体に良い波及効果があることが望ましいため、この部分についても言及したいポイントとなります。
具体的には、以下の項目について言及できると良いです。
・事業を実施することで、顧客の将来のどのようなニーズに応えているのか?
・事業を実施することで、業界全体にどのような相乗効果が生じるのか?
・新規に取り組む事業は、既存サービスと比べ、どのような点で良い影響があるのか?
事業計画書の具体的な書き方は
ここまで「実現性のある事業を申請するための7つのステップ」を紹介していきました。このステップを参考に事業計画書をまとめていただければ幸いです。
また、事業計画書の書き方については、中小企業診断士として数多くの補助金の申請に携わった補助金のプロとして、最低限抑えたい3つのポイントを以下の記事で紹介させていただきますので、採択を目指す方は、ぜひご参考にしてください。
事業計画書の作成は、補助金申請のプロに相談を
この記事では「実現性のある事業を申請するための7つのステップ」を紹介しました。このステップの中で特に重要なのは「現状の理解」となります。
その理由は、最初の段階で方向性の選択を見誤ってしまうと、その後の事業計画書の作成が無駄になってしまうことも十分に想定されるためです。事業ありきではなく、しっかりと自社の現状と市場のニーズを理解した上で、事業を提案するように気をつけたいところです。
一方、自分で自分を評価することは非常に難しい面もあります。そのため、可能であれば、補助金申請コンサルタントなどに相談し、第三者のプロの目線で自社の現状を評価してもらう事が望ましいです。
特に、補助金申請プロサポートでは、補助金申請にお悩みの方向けに、無料相談を実施中です。補助金申請のプロとして、豊富な採択実績のある補助金申請のプロが補助金のお悩みにお答えしますので、お気軽にご相談をお申し込みください。
早稲田大学卒業後、大手総合商社に勤務し、
企業成長と多様な働き方の両立を支援する株式会社WellFlagsを設立
ものづくり補助金やIT補助金等の補助金申請代行の専門家として、各種補助金のコンサルタント、申請代行を実施
高い採択率を誇る補助金申請プロサポートの代表コンサルタントとしても活動中