事業再構築補助金は飲食店で利用できる?補助金採択事業も紹介

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新型コロナにより、人々の外出自粛や緊急事態宣言による時短営業要請などから、飲食店の多くが厳しい経営状況に立たされています。

 その一方、公的機関によるコロナ関連の支援策も近年では充実しています。中でも、事業再構築補助金は補助金額も大きく、注目度が高い補助金です。第四回公募分では、採択事業全体の約19%を飲食業が占めており、飲食業界にとって活用事例の多い制度です。

 現在では、ウィズコロナ、ポストコロナを見据えた事業再構築を考え、飲食店事業への新規進出や、既存の飲食事業で新分野への展開を考えている事業者も多いでしょう。では、事業再構築補助金は飲食店の新規出店や開業にも使えるのでしょうか?

飲食店の新規出店や開業に事業再構築補助金は活用できるのか?

 結論、新規出店・開業に活用することは可能です。

 申請にあたっては、以下の必須申請要件を満たす必要があります。要件を確認しておきましょう。

  1. 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、 コロナ以前(2019年又は2020年1〜3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること。または、2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること。
  2. 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組むこと。
  3. 補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加を達成すること。

 また、補助には通常枠の他、大規模賃金引き上げ枠やグリーン成長枠など様々な枠があり、それぞれに補助率が異なっていますので注意が必要です。

飲食店新規出店・開業で補助金を使える費用例

 それでは、飲食店新規出店・開業を見据えた時、どんな費用が補助対象経費となるのでしょうか。今回ご紹介する主な対象は以下の5つです。

建物内装費

 公募要領の建物費にあたります。「補助事業のために不可欠とされる改修費」が補助金の対象となります。賃貸物件の内装などの改修費は補助対象経費となる一方で、「土地代」「家賃」は補助対象経費にはならないので注意しましょう。また、新築の建物費に関しては制限があり、「補助事業の実施に真に必要不可欠であること」及び「代替手段が存在しない場合」に限り補助対象経費として認められます。

厨房機器、オーダー機材

 公募要領の機械装置・システム構築費にあたります。補助事業のために使用される器具の「購入」「製作」「借用(リース・レンタル)」に要する経費が対象です。リース・レンタルについては、補助事業実施期間中に要する経費のみが対象となります。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合のリース費は、按分等の方式により算出された補助事業実施期間分が対象となります。

研修費

 補助事業の実施のために必要な教育訓練や講座受講に係る経費が対象となります。これらの経費の補助を希望する場合は、事業計画書内に(1) 研修名、(2) 研修実施主体、(3) 研修内容、(4) 研修受講費、(5) 研修受講者についての情報を必ず記載してください。この5点が記載されていないと、研修費を補助対象経費とすることができません。

広告宣伝費

 製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真)の作成及び媒体掲載、展示会出店(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用に係る経費が対象となります。
 このように、幅広い経費が補助対象となっていますので、金銭的なリスクを抑え店舗を始めることができます。

事業再構築補助金

飲食店が事業再構築補助金を申請する場合の注意点

 しかしながら、事業再構築補助金制度には中小企業庁による厳正な審査が入ります。事業計画書を提出するにあたっては、以下の点について留意しましょう。

既存事業の強みを活かしているか

 後述する事例を見ていただくと分かる通り、既存事業の強みを活かした事業である必要があるため、その点を事業計画書でアピールする必要があります。事業計画をするにあたり、自社の最大の強みは何なのかしっかりと分析し、新事業に活かしましょう。

既存事業の売上規模や会社の財務状況に対し、過剰投資ではないか

新規事業を行うにあたり、人員や財務面で問題はないか

 限られた予算の中から補助金を交付するにあたり、財務面や収支については細かくチェックされます。無理・無駄のない計画になっているかどうか、必ず精査しましょう。

 具体的には、自社の財務状況で問題なく投資に資金を回せるか、事業計画を実行するにあたり、自社で適切な人員配置ができるかという点が重要ですので、事業計画書には明確に記載しましょう。

飲食店で事業再構築補助金を活用した事例

 では、実際に事業再構築補助金の申請が受理され、補助金を活用している企業にはどのような事例があるのでしょうか。今回は2つご紹介します。

ダイニングバーの経営を行っていた事業者が、新たに焼肉店を開業

 ダイニングバー経営から、焼肉店経営に事業の主軸を移した事例を紹介します。

 同社は創業からダイニングバーの経営を行っており、同県内に5店のダイニングバーを経営しておりました。オフィス街を中心に出店し、オシャレな内装や豊富な酒類メニューで、仕事帰りのワーキングパーソンに高い人気を得ていましたが、コロナによりテレワークが主流となってから、来店客が激減。コロナ前の半分程度の売上まで落ち込みました。

 そこで、「カジュアルなファミリー層向けの焼肉店」の開店を計画しました。既存店の「ワーキングパーソン向けのオシャレなダイニングバー」から、コロナでも来店が見込める店舗コンセプトを新設し、ファミリー層が楽しめる内装・メニューを作るなど、新たな顧客層の集客を促進する事業プランを策定しました。各テーブルに換気ダクトがある焼肉店はコロナ禍でも顧客が来店しやすく、更に感染症対策を徹底するため、無人レジシステムや、タブレットオーダーシステムの導入し、コロナ禍でも集客が見込める店舗づくりを計画しております。

洋菓子店が自然食品店を出店

 洋菓子店から地域の特産品を販売するマルシェ事業に進出を計画した事例をご紹介します。

 創業以来27年間、地域の新鮮な生産物を中心とする厳選素材を使ったケーキや生菓子・焼菓子等の商品を開発・提供し続け、多くの方のファンが存在している洋菓子店です。しかしながら、コロナ禍において祝い事や外出自粛等の影響を受け、洋菓子の需要が激減し、経営は大きな打撃を受けました。同時に、洋菓子店に素材を提供している生産者も出荷量が減少し、苦境に立たされました。

 そこでこの洋菓子店は、強みである商品開発力と発信力を生かし、生産者と消費者が直接交流・販売できるマルシェ事業に進出する決断をしたのです。地域の生産者と連携して新鮮な果物や生花・特産品を仕入れるだけでなく、素材を生かした洋菓子や使いきれなかった食材も商品化することを計画しました。また、AIレジの導入やサイトでの商品予約の連動など、少ない接触での買い物の実現を目指しています。また、フードロスを生まない仕入れを実現する情報分析などにより、人と環境に優しく、かつ収益率の高い店舗を目指しています。

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最後に

 以上が「事業再構築補助金」についての内容になります。

コロナ禍において厳しい状況に置かれる飲食業界への支援は、政府や公的機関においても重要な課題とされています。ウィズコロナの中でも訪れるビジネスチャンスを確実につかみ、ポストコロナも見込んだ経営をしていくことは、飲食業界にとって必要不可欠となるでしょう。その中で、事業再構築補助金のような支援に頼ることは非常に大きな力となるはずです。

 2020年と2021年に比べ、社会の中ではさらに、コロナと共に経済を推進する動きが活発化しています。しかしながら、飲食業界はまだまだ、コロナの感染者数によって時短営業や外食自粛などの煽りを受ける可能性が高いのは事実です。今後変化していくコロナ禍においても事業を発展させていけるよう、自社の強みを生かした魅力的な計画を策定し、事業再構築補助金を役立てましょう。

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