序章:補助金だけじゃない「キャッシュフロー改善策」としての経営力向上計画
資金繰りの改善策というと補助金が真っ先に思い浮かびますが、実は「税金の負担を軽くする」「資金調達の際の金利低減」といった形で、キャッシュフローの改善に寄与する制度もあります。その代表例のひとつが経営力向上計画です。
この制度の代表的なメリットは、設備投資に対して税制面の支援を受けられる可能性がある点です。たとえば、計画が認定され、一定の要件を満たす設備投資を行う場合、法人税額の控除(取得価額の10% ※資本金3,000万円超の法人は7%)といった税制措置を選択できます。
また、経営力向上計画は、税制・金融・法的支援といった「補助金以外」の支援措置を活用できる制度ですが、補助金と組み合わせて使うことも考えられます。補助金で投資負担を軽くしつつ、条件を満たせば税制措置で税負担も抑えられるため、結果として自己負担やキャッシュフロー面のインパクトが大きくなるケースがあるためです。
たとえば、1,000万円の設備投資に対して補助金で500万円が補助され(補助率1/2の場合)、さらに税制措置で100万円の税額控除を受けられるといった形です。この組み合わせの具体例は、後段(4章)で詳細を記載します。
本記事では、経営力向上計画の制度の全体像/対象者/支援措置を、順番に分かりやすくまとめます。
1章:経営力向上計画とは
経営力向上計画は、企業が「経営力を高めるための取組」を計画としてまとめ、所管する国の機関(事業分野別の主務大臣)に申請し、認定を受ける制度です。ポイントは、認定を受けること自体がゴールではなく、認定された計画に基づく取組を実行し、支援措置を活用するところまでがセットになっている点です。
制度のスキームは、次の流れです。
- 設備選定・工業会証明書の取得
- 計画書の作成
- 申請・受理
- 認定書の交付
この流れを理解しておくと、後半の税制・金融の説明が一気に読みやすくなります。
2章:認定を受けられる事業者(対象者の範囲)

この章では、「そもそもどの事業者が申請できるのか」を整理します。制度としては、会社や個人事業主に加えて、一定の法人形態(医療法人等、社会福祉法人、特定非営利活動法人など)も対象になります。あわせて、従業員規模等が設定されています。
ここで大事なのは、支援措置(税制・金融)ごとに対象となる規模要件が異なる場合があるという点です。
「計画の認定は取れそう」でも、「狙っている税制は対象外だった」「金融支援の枠が違った」というズレが起こり得ます。
整理の仕方としては、次の順番をおすすめします。
- まず「自社は申請対象に当たりそうか」を確認する
- 次に「使いたい支援措置」ごとに、対象要件を確認する

出典:中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく 支援措置活用の手引き」
最後に、対象者の確認は早めに行うほど後工程が楽になります。計画書そのものよりも、要件確認で止まるケースが多いためです。したがって、まず最初に自社が狙っている支援措置から整理し、申請要件を確認することが重要です。
支援措置ごとの申請要件については、後の章で各支援措置の詳細とあわせて整理します。
3章:支援措置の全体像(税制・金融・法的支援)
経営力向上計画の支援措置は、大きく税制措置/金融支援/法的支援の3つに整理できます。ここでは、制度全体の概要をご説明し、4〜6章で深掘りします。
次の表に、全体像をまとめました。
| 区分 | ねらい(要約) | 代表的な内容(概要) |
|---|---|---|
| 税制措置 | 設備投資等の税負担を軽減し、投資を後押し | 設備投資に係る税制上の特例、事業承継関連、不動産取得税の特例、準備金の積立(損金算入)など |
| 金融支援 | 資金調達の選択肢を増やす | 政策金融機関の融資、民間融資に対する信用保証、債務保証など |
| 法的支援 | 手続き面のハードルを下げる | 許認可承継などの特例など |
そして、計画書に書く「取組の方向性」は、次のように整理しておくことをおすすめします。
- 生産性向上の取組(設備更新、工程改善、作業時間の短縮、ムダ削減 など)
- 収益力強化の取組(付加価値向上、原価低減、商品・サービス構成の見直し など)
- 経営資源の集約・再編に関する取組(拠点・設備の集約、資源の再配置、投資のパッケージ化 など)
- 規模拡大・事業基盤強化の取組(能力増強、建物・附属設備を含む投資 など)
- 事業承継・組織再編に関する取組(承継に伴う手続きや再編を前提にした整備 など)
このように、まずは「自社がどの方向性の取組を計画に載せたいか」を決めると、4章以降の支援措置の検討がスムーズになります。
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4章:税制措置の要点(中小企業経営強化税制など)

税制措置は、キャッシュフロー改善に直結しやすいのが魅力です。経営力向上計画の認定を前提に、一定の要件を満たす設備投資を行う場合、即時償却または税額控除といった選択肢が用意されています。
即時償却とは、通常であれば複数年に分けて費用化する設備投資額を、一定の条件のもとで取得した事業年度にまとめて費用として計上できる仕組みです。利益が出ている年度に投資を行う場合、課税所得を圧縮しやすく、結果として当期の税負担を軽くしやすい点がメリットになります。
一方の税額控除は、一定の条件のもとで、設備の取得価額に応じた金額を法人税額から直接差し引ける仕組みです。税額から差し引くため効果が分かりやすく、設備投資のタイミングと合えば納税額をストレートに抑えられる点がメリットです。
上記の対象者は、青色申告書を提出する中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得等し、指定事業の用に供した場合、即時償却または税額控除を選択適用できます。
税額控除を選ぶ場合の控除率は、取得価額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)です。
税制措置は「認定を取れば自動的に適用」ではなく、税務上の要件・手続きに適合していることが前提になる点に注意が必要です。投資の前後関係(認定のタイミング)や、証明書類・確認書類が必要になるケースもあるため、実行計画とセットで段取りしておくことをおすすめします。
5章:金融支援の要点
金融支援は、設備投資や事業展開を進めるうえで「調達手段の幅」を広げる位置づけです。政策金融機関の融資、信用保証、債務保証など、複数のメニューが用意されています。
ここでは、経営力向上計画の認定を受けた事業者が利用を検討しやすい代表的な支援措置として、日本政策金融公庫による融資を整理します。
概要を次の表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支援措置 | 日本政策金融公庫による融資(特定事業者向け) |
| 使途 | 設備投資に必要な資金の融資 |
| 貸付金利 | (中小企業事業)基準利率 ※設備資金(土地に係る資金を除く)は、5億4,000万円を限度として特別利率②/(国民生活事業)基準利率 ※設備資金(土地に係る資金を除く)は特別利率B |
| 貸付限度額 | (中小企業事業)14億4,000万円/(国民生活事業)7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
| 貸付期間 | 設備資金20年以内、長期運転資金7年以内(据置期間2年以内) |
補足として、金利(基準利率・特別利率)は条件や時期で変動するため、検討時点での公庫情報を確認しておくと安心です。金融支援は「何が使えるか」を押さえたうえで、投資計画・資金計画とセットで具体化していくと、制度活用のイメージがつきやすくなります。
また、日本政策金融公庫による低利融資以外にも、中小企業信用保険法の特例や中小企業基盤整備機構による債務保証制度等の金融支援を受けられる可能性があります。要件等の詳細は、以下の手引きをご確認ください。
6章:法的支援の要点(許認可承継などの特例)
法的支援は、事業承継や組織再編など「会社の形が動くタイミング」で活用しやすいメニューが用意されています。ここでは代表例として、許認可承継の特例を整理します。
まず、概要を次の表にまとめます。
| 支援措置 | できること(概要) | 想定シーン |
|---|---|---|
| 許認可承継の特例 | 事業承継等を行うことを記載した経営力向上計画の認定を受けた上で、一定の内容に従い事業を承継する場合に、承継される側の事業者から、当該許認可に係る地位をそのまま引き継げる | 事業譲渡、会社分割、承継を伴う再編などで、許認可の取り直しが論点になるケース |
対象になり得る許認可の例として、次の事業が挙げられています。
- 旅館業
- 建設業
- 火薬類製造業
- 火薬類販売業
- 一般旅客自動車運送事業
- 一般貨物自動車運送事業
- 一般ガス導管事業
この制度のポイントは、「許認可そのものを新規で取り直す」のではなく、一定の条件のもとで許認可に係る地位を引き継げる点にあります。事業承継や再編の計画を立てる際は、該当する許認可があるかどうかを早めに洗い出し、経営力向上計画の記載内容と整合する形で準備を進めることをおすすめします。
まとめ:経営力向上計画の“使いどころ”を整理
経営力向上計画は、認定を通じて支援措置を活用し、計画に基づく取組を進めるための制度です。補助金とセットで、税制・金融・法的支援という「キャッシュフロー改善に活用しやすい手段」を持てる点が大きな特徴です。
最後に、本制度をご検討したい方が次に取るべき行動は以下の3点です。
- 狙う支援措置を決める(税制/金融/法的、必要なら複数)
- 今後の投資・資金調達の予定を棚卸しする(いつ、何を、いくら)
- 投資前に要件・必要書類・事前相談の要否を確認する
この3点を押さえたうえで計画を組み立てると、具体的な投資戦略につながる形で使いやすくなります。
当社では本制度の申請支援も行っております。制度の詳細や、自社の投資戦略に当てはまるか等、簡単なご質問からで構いませんので、お気軽にご相談ください。
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