中小企業の経営者や補助金担当者の皆様、深刻化する人手不足や生産性の向上に日々悩まされていませんか?そんな課題を解決するための強力な切り札として注目を集めているのが「中小企業省力化投資補助金」です。
しかし、この補助金は公募の回を重ねるごとに制度の見直しが行われており、実は最近の公募から申請要件が大きく変更・厳格化されているのをご存知でしょうか。過去の公募のつもりで準備を進めていると、実務上の算定方法で思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。
本記事では、2026年の最新動向を踏まえ、第5回公募から大きく変更された「賃上げ3.5%」の詳細や、新設された「省力化ナビ加点」の具体的な申請手順と注意点について、専門用語をわかりやすく噛み砕いて徹底解説します。次回の第7回公募に向けて、採択を勝ち取るための準備を今から進めていきましょう!
中小企業省力化投資補助金(一般型)の要件はどう変わった?第5回からの厳格化

中小企業省力化投資補助事業(一般型)は、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等がデジタル技術等を活用した専用設備を導入するための経費の一部を補助する制度です 。
省力化補助金(一般型)の制度について、詳細が気になる方は以下の記事をご覧ください。
この一般型において、2026年に入り「第5回公募」を境にして申請要件が大幅に厳格化されました。今回の要件変更における最大のポイントは、「賃上げ要件の厳格化」と、審査を有利に進めるための「省力化ナビの活用による加点措置」の2点です。
【新旧比較表】要注意!賃上げ要件は「従業員1人当たり3.5%増」に一本化
もっとも大きな変更点であり、多くの経営者様が頭を悩ませているのが「賃上げ要件」の変更です。これまでは会社全体の状況に応じて選択肢がありましたが、第5回公募以降、その抜け道が完全に塞がれました。
第4回公募以前の旧要件と、第5回公募以降(現在)の新要件を比較表にまとめましたので、まずはその違いをご確認ください。
| 比較項目 | 第4回公募以前 | 第5回公募以降・現在 |
|---|---|---|
| 賃上げの達成基準 | 以下のいずれか一方の目標値を達成①「給与支給総額」年平均成長率+2.0%以上②「1人当たり給与支給総額」年平均成長率が都道府県別の基準率以上 | 「1人当たり給与支給総額」の年平均成長率を3.5%以上増加に完全一本化 |
| 役員(役員報酬)の扱い | 「給与支給総額」を選ぶ場合、役員報酬を算定に含めることができた | 役員は算定対象から除外(純粋な従業員の給与のみが対象) |
| 対象となる人員の範囲 | ①各時点(申請時・最終年度)の在籍者全員②申請時から最終年度まで継続就業している「同一人」に限定 | 各事業年度において全月分の給与支給を受けた従業員が対象(中途採用・退職等の月は除外) |
| 目標未達成時のペナルティ | 達成率に応じて補助金の返還を求められる | 同左(未達成の度合いに応じて返還義務あり) |
なぜ現在の新要件は「1人当たり3.5%増」になったのか?
これが、現在の新要件(第5回・第6回以降)では「1人当たり給与支給総額(3.5%以上増)」に完全一本化されました。経営陣の報酬による調整は一切通用しなくなり、純粋に現場で働く従業員の処遇改善が求められる形へと厳格化されています。
では、なぜこれほど高い「3.5%」という数字が設定されているのでしょうか。これには明確な計算根拠があります。
現在、日本銀行が公式に掲げている「物価安定の目標」は年2.0%です。これに対し、インフレに負けないよう従業員の実質的な生活水準を向上させるための「実質的な賃上げ分」として1.5%が上乗せされ、合計3.5%となっています。
「オーダーメイド設備を導入して生産性を極限まで高め、その生み出された利益をしっかりと従業員個人の給与に還元してほしい」という、国からのメッセージが込められているのです。
もし事業計画期間終了時点において、この目標が未達成に終わった場合、原則として達成率に応じて補助金の返還を求められます。ただし、付加価値額が増加しておらず、過半数が営業利益赤字の場合や天災など、事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還が免除される救済措置もありますが、申請前に慎重な財務シミュレーションをしておくことが不可欠です。
【加点対象】「省力化ナビ」とは?無料で使える課題解決サイトの概要
賃上げ要件が一本化されハードルが上がった一方で、事業者様が審査を有利に進め、採択率をグッと高めるための新たな加点項目も設定されました。それが、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が提供する「省力化ナビ」の活用による加点措置です。
「省力化ナビ」とは、中小企業が自社の業種や直面している課題を選ぶだけで、どのような省力化(効率化)の手段や機器が適しているかを無料で診断・提案してくれるWebサイトです。
応募申請締切日までにこの「省力化ナビ」を活用し、生産性向上の知見を確認していることが審査における加点対象となります。無料で自社の現状分析が行える便利なツールですので、活用しない手はありません。
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省力化ナビの具体的な活用ステップと、GビズID入力時の重要ポイント

「新しいシステムの操作は難しそうで不安……」という担当者の方も多いかと思いますが、省力化ナビは直感的なイラスト選択で進められる親切な設計になっています。実際の流れは以下の4ステップです。
- Step1:基本情報の入力 業種や所在都道府県、従業員数などを入力します。ここで入力する業種は、会計や人事などの業種横断的な業務にも対応しています。
※補助金の申請を希望する場合は、GビズIDを入力します。 - Step2:課題の選択 選んだ業種ごとのイラストが表示されます。日々の業務で興味・関心のある項目をイラストから直感的に選択します(複数選択も可能です)。
- Step3:解決策の選択 省力化・生産性向上につながる具体的な解決策を、同じくイラストから選択します。
- Step4:取組方法の確認 選択した解決策の具体的な取組方法や、取組事例、相談先となる支援機関を確認できます。
⚠️ 【最重要】見落としNG!GビズIDの入力とPDFダウンロード
手順自体はとても簡単なのですが、補助金の加点を受けるために絶対に間違えてはいけないシステム上の重要な仕様が2つあります。
- Step1で正しい「GビズID」を入力すること
最初の基本情報入力画面に、補助金申請を希望する方向けの「GビズID」入力欄があります。加点を受けるためには、本事業を申請する際に入力する「GビズIDプライム」と、ここで入力する「GビズIDプライム」が完全に一致している必要があります。入力忘れや別のアカウントを入力してしまうと、システム上で加点のデータが紐づかなくなってしまいます。 - Step4で結果PDFをダウンロードすること
最後の取組方法の確認ページに到達したら、補助金の申請をする方は必ずそのページのPDF(チラシデータ)をダウンロードして手元に保存してください。
「せっかく手間をかけて診断をクリアしたのに、システム連携ができず加点がもらえない」という非常にもったいない事態を防ぐため、実務担当者の方は必ず正しいGビズIDを手元に用意してから診断をスタートしてください。
省力化ナビ:https://labour-saving.smrj.go.jp/
次回(第7回)申請に向けた事前準備と採択のポイント
2026年5月28日時点では、直近の第6回公募はすでに締め切られており、現在は次回「第7回公募」の公式発表と開始を待つフェーズに入っています。補助金全般に言えることですが、今このタイミングから以下のステップで事前準備を進めておくことこそが、採択率を大きく高める最大のポイントです。

今すぐ経営者が取り組むべき3つのステップ
- STEP 1:自社の事業計画が補助金の目的と合致しているか確認する
まずは、自社がやりたいこと(事業計画)が、本補助金の趣旨である「オーダーメイド設備の導入による省力化」に本当に合致しているかを確認しましょう。もし「単に汎用的なパソコンやパッケージソフトを買いたいだけ」など目的が合致していない場合は、無理に申請せず、他の補助金を検討するのが得策です。目的が合致している場合は、次のステップへ進みます。 - STEP 2:申請要件(賃上げ3.5%など)を満たせるかシミュレーションする
本記事で解説した通り、要件は「1人当たり3.5%増(役員除く)」へと厳格化されています。現在の従業員名簿と給与台帳を確認し、「実際に現場の個人の給与を3.5%引き上げた場合、会社の年間キャッシュフローにどの程度のインパクトがあるか」を事前にシミュレーションし、現実的に達成可能かを見極めましょう。(あわせて、申請に必須となる「GビズIDプライムアカウント」も今のうちに取得しておいてください)※その他の基本要件の確認もお忘れなく! - STEP 3:採択率を上げるため、審査項目に沿った事業計画書を作り込む
要件をクリアできそうなら、いよいよ事業計画書の作成です。採択率を上げるためには、事業計画書の「質」に徹底的にこだわる必要があります。どんなに素晴らしい取り組みであっても、審査員が評価の基準とする「審査項目」に沿った内容が書けていなければ点数はつきません。また、本記事で紹介した「省力化ナビ」のように、どの事業者も簡単に始められる加点項目については積極的に取組みましょう。
事業計画書をどのように書き上げれば審査員の心に響き、高い評価(点数)を得られるのかについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
まとめ
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、過去の公募から要件が大きく変わり、「1人当たり賃上げ3.5%」へと一本化され、役員報酬による調整もできなくなりました。一見するとハードルが高くなった印象を受けるかもしれません。しかしその一方で、「省力化ナビ」等の誰でも確実に狙える加点も設定されました。
制度の本当の変更点を正しく把握し、事前の準備をしっかりと行えば、採択される可能性は十分に高まります。深刻な人手不足を解消し、自社を次の成長ステージへと進めるために、ぜひ今から準備をスタートしてください!
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それでは次回の記事もお楽しみにしていてください!



