ものづくり補助金の公募要領の審査項目には、次のように記載があります。
申請された内容が「新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発」…「…生産性向上のための…」に沿った取り組みであるかどうか?
ものづくり補助金公募要領
ただ、何を持って審査委員会が「革新的」や「生産性の向上」と判断するのかについての明確な記載はなく、「革新的」や「生産性の向上」という審査項目に対して十分にアプローチ出来ていない事業者の方も多いのが実情であり、「革新的」や「生産性の向上」という点は、採択率を高める上で重要な要素となっています。
そこで、この記事では、ものづくり補助金の事業計画書における生産性の向上・革新性について、補助金申請のプロとして、ものづくり補助金の申請をコンサルタントしてきた経験を元に4つの視点で整理していきます。
ものづくり補助金の事業計画書に必要な生産性の向上・革新性とは
革新的・生産性の向上については「ものづくり補助金の概要版資料」において簡単に触れられており、その内容を踏まえると、次の4つの視点が重要となります。
- 新商品の開発であるか
- 新たな生産方式の開発であるか
- 新たな役務(サービス)の開発であるか
- 新たな提供方式の開発であるか
それでは詳しく解説していきます。
新商品の開発であるか
ものづくり補助金の管轄省庁である中小企業庁では、「新商品の開発」について、以下の3点を満たす取り組みの事であると紹介しています。
- 自社にとって新しい取り組みである
- 他社でも一般的ではない取り組みである
- 地域・業種内における先進事例にあたる取組である
ここで重要なのは、自社にとって新しい取り組みかどうかという視点に加え、市場にとって新しい取り組みかどうかという視点を持つことです。
過去の採択事例においても
- 納豆を粉末化したドレッシングの開発
- 100%こめ油の製造
- 廃瓦を再利用した植生ブロック
等が採択事例として紹介されており、上記事例については、自社にとって新しい取り組みであるということはもちろん、それぞれの市場にとって新たな取り組みであったと言えるのではないでしょうか。
新たな生産方式の開発であるか
過去の採択事例から読み解くと、「新たな生産方式の開発」においては、「必ずしも新しい事が必須とわけではなく(もちろん新しい取り組みの方がより望ましいですが)、それ以外にも、生産性の向上や効率化、従業員の負担軽減に寄与する取り組み」について、採択されている事例が見受けられ、この視点を意識して事業計画書を作成する事が重要となります。
過去の採択事例においても
- 短納期に対応するための設備投資の取り組み
- 熟練された職人と同等の技術を有する設備導入による業務効率化の取り組み
等の取り組みが、採択事例として紹介されている事が確認でき、上記事例については業務効率化という視点で設備投資を計画している事を推し量る事ができます。
新たな役務(サービス)の開発であるか
過去の採択事例を調査していくと、ここで定義されている「新たなサービスの開発」とは「あっと驚くようなこれまでにない自由な発想での新規サービスの提供」であることが多いです。
ただし、そのような新規性に富んだ計画ばかりかと言われるとそういうわけでもなく、既存のサービスをより良くするという内容についても採択された実績があることが確認でき、比較的幅広い範囲での採択事例がある事が見受けられます。
過去の具体的な採択事例としては
- アプリを活用した葉書の新たな配送サービスの提供
- 廃業した蔵元のカフェ等への業務転換
- 関連会社で協力し、共同でサポートセンターを開設
等の取り組みを確認することができます。
新たな提供方式の開発であるか
過去の採択事例を見てみると、「新たな提供方式の開発」とは、「顧客と従業員の関わり方について、これまでにない新規あり方を開発するもの」という事が読み取れます。
もう少しラフに言うと「顧客の利便性や満足度の向上に寄与する事を目的としている取り組み」と言える取り組みであり、過去の採択事例を見てもそうした内容の取り組みを確認することができます。
具体的には
- 病院における問診票のクラウド化による待ち時間の軽減
- フィットネスジムにおける医学的根拠に基づく健康データの管理
といった採択事例を確認することができます。
革新的・生産性の向上に寄与する取り組みの例示は
ものづくり補助金概要版の資料において、革新的・生産性の向上に寄与する取り組みの例示として、次の4つが紹介されています。
- 避難所向け水循環型シャワーを開発
- 作業進捗を「見える化」する生産管理システムを導入
- 従業員のスキルに応じて顧客をマッチングするシステムを導入
- 仮想通貨の取引システムを構築
いずれの例示も、単なる設備投資や設備更新といった内容ではなく、これまでにない商品の開発やシステムの導入、顧客の利便性の向上等に寄与するような内容である事が確認でき、こうした視点に配慮した事業計画書を作成する事が重要であるという事を推し量ることが可能です。
また、下記の記事では業種別の具体的事例を紹介していますので、採択を目指すか方がぜひ参考にしてください。
> ものづくり補助金の「業種別の採択事例」とは|業種別で紹介
革新的・生産性の向上の判断は、プロに相談を
この記事では、ものづくり補助金の審査項目である「革新的・生産性の向上」について、4つの視点で解説してきました。
ただ、自社の事業計画書が革新的又は生産性の向上に寄与しているかどうかを自分で判断することは、非常に難しい事です。
作成した事業計画書の内容から革新性・生産性の向上を伝えることが出来なければ、事業計画書の作成作業が無駄になってしまうことも十分に想定されるため、できれば、事業計画書を作成する前の段階で、補助金申請コンサルタントなどに相談に乗ることが望ましいです。
特に、補助金申請プロサポートでは、補助金申請にお悩みの方向けに、無料相談を実施中です。
補助金申請のプロとして、豊富な採択実績のある補助金申請のプロが補助金のお悩みにお答えしますので、補助金のお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
早稲田大学卒業後、大手総合商社に勤務し、
企業成長と多様な働き方の両立を支援する株式会社WellFlagsを設立
ものづくり補助金やIT補助金等の補助金申請代行の専門家として、各種補助金のコンサルタント、申請代行を実施
高い採択率を誇る補助金申請プロサポートの代表コンサルタントとしても活動中