様々なITツールの導入に利用できることから問い合わせ数も多いIT導入補助金ですが、申請枠が4つもあり、どの枠で申請したら良いのかよく分からないという事業者も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると「IT導入補助金の申請枠はどのようなITツールを導入したいのか」ということで、申請枠の使い分けが必要です。
そこで、この記事では、IT導入補助金の申請枠についてざっくりと解説します。
IT導入補助金の4つの申請枠とは
IT導入補助金の申請枠には次の4つがあります。
- 通常枠(A)
- 通常枠(B)
- セキュリティ対策推進枠
- デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
それでは詳しく解説していきます。
通常枠(A)とは
通常枠(A)とは、中小企業等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、中小企業等の業務の効率化を実現する枠のことです。
業務の効率化や経営力の向上・強化に寄与するITツールであれば、比較的柔軟に導入することが可能で、IT導入補助金を使いたい場合は、基本的には通常枠(A)にて検討を始めることとなります。
通常枠(A)の補助対象とは
下記の通りとなります。
補助対象経費 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費 |
補助率 | 1/2以内 |
補助額 | 30万円以上150万円未満 |
通常枠(A)の補助事業とは
基本的には、自社の課題やニーズにあったITツールを導入することが可能で、過去の採択事例でも業務の効率化に寄与する様々なITツールについて導入実績があります。具体的には「出退勤システムの導入」や「在庫管理システム」などが紹介されており、様々な用途に使うことができます。
一方、通常枠(A)には、「労働生産性が向上するITツールであること」という追加条件があります。ここでいう「採算性の向上」とは、公募要領にて指定された計算式により算出した客観的な数値にて証明する必要があります。
通常枠(B)とは
通常枠(B)とは、自社の強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールの導入を補助することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図ることを目的とした枠です。
基本的な考え方は、通常枠(A)と同じとなりますが、補助金額と補助条件の面で通常枠(A)と異なります。
通常枠(B)の補助対象とは
下記の通りとなります。
補助対象経費 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費 |
補助率 | 1/2以内 |
補助額 | 150万円以上450万円以下 |
通常枠(B)の補助事業とは
基本的には、通常枠(A)と同様、自社の課題にあったITツールが導入可能です。過去の採択事例では業務効率化のアプリやシステムの導入が多く見受けられ、具体的には「出退勤システムの導入」や「在庫管理システム」などが紹介されており、様々な用途に使うことができます。
一方、通常枠(B)では、下記の条件を満たす必要があります。
- 労働生産性が向上するITツールであること
- 給料がアップすること
通常枠(A)の条件である「生産性の向上」に加え、従業員の給料がアップすることという条件が追加されています。こうした数値にも公募容量で定められた計算式による、客観的な数値データにて証明する必要があります。
通常枠(A)と通常枠(B)の違いとは
通常枠(A)と通常枠(B)の違いは、ざっくりいうと下記の2点になります。
- 通常枠(B)の方が、補助金の上限額・下限額が高い
- 通常枠(B)には、従業員の給料をアップさせるという追加条件がある
条件や補助金額は異なりますが、導入できるITツールの差はないため、初めは通常枠(A)にて検討し、ITツールが果たすべき役割に応じ、通常枠(B)による検討に切り替えていくという手法が良いと思います。
セキュリティ対策推進枠とは
中小企業等がサイバーインシデントが原因で事業継続が困難となる事態を回避するとともに、サイバー攻撃被害が供給制約や価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや生産性向上を阻害するリスクを低減していただく事を目的としてITツールの導入を補助する枠です。
セキュリティ対策推進枠の補助対象とは
下記の通りとなります。
補助対象事業 | 独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービス |
補助対象経費 | サービス利用料(最大2年分) |
補助率 | 1/2以内 |
補助額 | 5万円以上150万円以下 |
セキュリティ対策推進枠の補助事業とは
セキュリティ対策推進枠で補助事業の対象となるITツールは、「独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービス」に限定されます。
詳しくは下記のウェブサイトにて確認することが可能です。
非常に分かりやすい枠なので、セキュリティ対策ソフトを導入する場合にはぜひ検討したい枠となります。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)とは
デジタル化基盤導入枠とは、中小企業等が導入する会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助する枠です。
通常枠とは異なり、ITツールの導入費に加え、ハードウェアの購入費にも補助金が使える点がポイントとなります。
デジタル化基盤導入枠の補助対象とは
下記の通りとなります。
補助対象経費 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入費用 ハードウェア購入費 |
補助率 | 3/4以内(補助額50万円未満) 2/3以内(補助額50万円超) |
補助額 | 5万円以上50万円未満 50万円超350万円以下 |
デジタル化基盤導入枠の補助事業とは
デジタル枠では、通常枠で対象だったITツールの導入(ソフトウェア購入費、クラウド利用料)に加え、ハードウェア購入費が対象となります。
ここでいうハードウェア購入費とは下記の通りです。
1 | PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器 | 補助率1/2以内 補助上限額10万円 |
2 | レジ・券売機等 | 補助率1/2以内 補助上限額20万円 |
ITツールの導入に合わせ業務全体をIT化する場合には、こちらの補助金を使うこととなります。例えば、決済ソフトの導入とともにタブレットやレジを導入する場合などが挙げられます。
一方、補助金のハードウェア購入費とITツール導入で補助率が異なるため、補助金の額の計算が少し複雑になります。
公式サイトにおいて補助金額の自動計算が可能なのでこちらも活用するようにしましょう。
どの枠で申請したら良いか分からない場合
この記事では、中小企業診断士として、各種補助金の申請をコンサルタントしてきた経験を元に、IT導入補助金の枠について、紹介してきました。採択を目指す方はぜひ参考にしてください。
一方、「結局、どの枠を使えば良いか分からない」「日々の業務におわれ、検討する時間がない」「通常枠とデジタル枠のどちらを使うべきか分からない」という事業者の方も多いのではないでしょうか。
そうした場合には、補助金のプロに相談することも一手です。豊富な実績のある補助金コンサルに頼ることで、補助金の申請に悩む時間を大きく削減することに加え、採択の可能性も高くなることが期待できます。
特に、補助金申請プロサポートでは、補助金申請にお悩みの方向けに、無料相談を実施中です。
補助金申請のプロとして、豊富な採択実績のある補助金申請のプロが補助金のお悩みにお答えしますので、補助金のお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
早稲田大学卒業後、大手総合商社に勤務し、
企業成長と多様な働き方の両立を支援する株式会社WellFlagsを設立
ものづくり補助金やIT補助金等の補助金申請代行の専門家として、各種補助金のコンサルタント、申請代行を実施
高い採択率を誇る補助金申請プロサポートの代表コンサルタントとしても活動中