【大規模成長投資補助金とは?】今年から始まった、新たな補助金を徹底解説!

補助金申請プロサポート|中小企業の成長を支援 【大規模成長投資補助金とは?】今年から始まった、新たな補助金を徹底解説!

令和7年度に開始された「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の全体像を、対象者・要件・対象経費・スケジュール・審査観点まで実務で使える粒度で解説します。

目次

【第1章:省力化等の大規模成長投資補助金とは?】

補助金申請プロサポート|中小企業の成長を支援 【大規模成長投資補助金とは?】今年から始まった、新たな補助金を徹底解説!

令和7年度から開始された「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」(以下、大規模成長投資補助金)は、これまでの中小企業向け補助金制度とは一線を画すスケールの大きな制度です。
この補助金は、地域の雇用を支える中堅・中小企業が抱える「人手不足」「賃金上昇への対応」「成長投資の資金不足」といった課題に対し、大規模な投資を支援することを目的としています。その最終的なねらいは、地方における持続的な賃金引き上げの実現にあります。

具体的な制度の概要

  • 補助上限額:最大50億円
  • 補助率:原則1/3以下(※)
  • 事業実施期間:交付決定日から令和9年12月末まで
  • 総予算規模:令和9年度までの国庫負担を含め総額3,000億円

このように、単なる設備導入ではなく、企業の成長を本格的に後押しする「投資型」の補助金である点が最大の特徴です。

※申請書の中で補助率 1/4 を適用した事業採択も許容された事業者については、本来の採択基準に満たない場合においても追加的な採択を行う可能性があります。

【第2章:どんな取組・事業者が補助対象になるのか?】

■ 対象となる事業者の条件:

  • 常時使用する従業員数が2,000人以下の法人または個人事業者
  • 日本国内に本社および補助事業実施場所を持つこと
  • 協業組合や事業協同組合など、法人格のある団体(収益事業に限る)

■ 補助対象外となる「みなし大企業」の主な条件:

  • 発行済株式の過半数が大企業に所有されている場合
  • 大企業関係者が役員の過半数を占める場合

■ 補助事業として認められる主な要件:

  • 投資額が10億円以上(税抜き、かつ外注費・専門家経費を除く)
  • 補助事業に関わる従業員・役員の給与が3年で年平均4.5%以上上昇していること

■ 補助対象外となる取組例:

  • 農業、林業、漁業などの一次産業に該当する単独事業
  • 解雇などにより形式的に賃上げを達成する事業
  • 風俗営業、暴力団との関係がある事業など社会的に不適切と判断される事業

このように、一定の規模と公共性を備えた成長戦略を描ける中堅・中小企業を対象とし、適切なガバナンスのもとで行われる投資が重視されます。

【第3章:賃金引き上げ要件とは?達成できないとどうなる?】

この補助金では、「賃金引き上げ」が絶対的な要件として求められます。賃金上昇の要件は、以下の式で定められています:

年平均上昇率 = {(最終年度の1人当たり給与支給総額 ÷ 基準年度の1人当たり給与支給総額) × (1/3)} - 1
上記が4.5%以上であることが必要

■ 対象となる給与には以下が含まれます:

  • 給与
  • 賞与
  • 各種手当(時間外、休日、住宅、家族など)

■ 計算対象者:

  • 基準年度および各事業年度に12か月分の給与を受け取っている従業員および役員
  • パートタイム従業員はフルタイム換算で計算

■ 付随義務:

  • 全従業員への目標表明(交付決定前)
  • プレスリリース等での対外公表(交付決定後1ヶ月以内)

■ 達成できなかった場合: 未達成率に応じて補助金の一部返還が求められます。なお、天災など不可抗力の場合は例外的な取り扱いとなることがあります。

【第4章:補助対象経費と具体例】

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補助対象経費は、以下の5つに分類されます。

区分内容注意事項
建物費生産施設や販売所などの新築・改修・取得土地・門・塀などは対象外。100万円以上で相見積り要
機械装置費専用の機械、装置、工具の購入や据付船舶・車両は不可。中古は古物商からの見積り要
ソフトウェア費専用ソフト・クラウド・情報システムなど汎用PC・タブレット等は不可。1ユーザー100万円以上必要
外注費加工や設計・検査など外部委託費用(外注+専門家)が(建物+機械+ソフト)より少ないこと
専門家経費技術指導・助言にかかる費用上限あり(最大1日5万円)、旅費含む

上記以外にも補助対象外となる例(自社内人件費、車両購入、家賃、光熱費など)が多数あるため、事前確認が必要不可欠です。

またこの制度が他の補助金制度と大きく異なるのは、補助対象となる投資額の最低要件が「10億円以上」と極めて高額に設定されている点です。そのため、採択を目指す企業には、単なる設備投資ではなく、明確な成長ビジョンに基づく適切な投資計画と、綿密な事業計画の策定が求められます。

【第5章:申請から補助金受給までの流れ】

  • 申請期間:令和7年7月7日~8月8日(17:00まで)
  • プレゼン審査:9月下旬(予定)
  • 採択発表:10月上旬~中旬
  • 交付申請・決定:10月下旬~12月下旬

■ その後のプロセス:

  1. 交付決定後に事業開始、プレスリリースによる公表
  2. 補助事業期間内で実施・完了
  3. 実施状況確認 → 検査 → 補助額確定 → 補助金支払い
  4. 事業完了後、3年間の賃上げ実績報告(年1回・全4回)

【第6章:審査で重視されるポイントとは?】

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審査は書面審査(定量評価)とプレゼン審査(定性評価)の2段階で実施されます。主な評価軸は以下の通りです:

  • 経営力:長期ビジョン、事業戦略、資金調達計画の妥当性
  • 先進性・成長性:競合との差別化、生産性向上、持続性
  • 地域波及効果:雇用創出、地域経済への貢献
  • 大規模投資・費用対効果:売上比に対する投資比率
  • 実現可能性:事業体制、財務基盤、市場性の明確さ

■ 加点項目(例):

  • 中小企業から中堅企業への移行目標
  • えるぼし・くるみん認定取得
  • 金融機関による確認書の提出
  • 地域未来牽引企業の登録 など

これらの評価項目を意識して計画を立てることが極めて重要です。たとえば、経営理念に基づく長期ビジョンや事業戦略を明確に描き、それが地域経済にどのように波及するかを具体的に記述することで、「経営力」や「地域波及効果」の観点で高評価が期待できます。また、実現可能性を高めるためには、資金計画や体制整備(人員体制など)、スケジュールの実行性なども明確に示す事で採択可能性が高まります。

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【第7章:申請準備で押さえるべきポイントと相談先】

申請に向けた準備で重要なのは、以下の4点です:

  1. GビズIDプライムアカウントの取得
    マイナンバーカードがあれば最短即日、マイナンバーカードが無い場合は郵送申請になるので2週間程度
  2. 成長投資計画の作成
    数値整合性(決算書・様式1・2)を厳格に
  3. 見積取得の要件
    100万円以上は3社の相見積もりが原則/外注費・専門家経費(50万円以上)も同様
  4. 必要書類の準備
    成長投資計画書(様式1)・別紙(様式2)、ローカルベンチマーク(xlsm)、過去3期の決算書(PDF)

■ 専門家との連携も検討を:
本補助金は補助額が非常に高額である一方、採択の難易度も高く、求められる事業計画の構想や内容も高度なものとなっています。したがって、申請を成功させるためには、金融機関との緊密な連携や、専門性の高い外部支援者(中小企業診断士・会計士等)との協力体制が必要であると考えます。
外部支援者との契約の検討 → 綿密な投資・事業計画が必要となるため、経営革新機関などの専門家へのご相談をおすすめします。

【第8章:まとめ】

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本補助金は、10億円以上の成長投資と、従業員の処遇改善(賃金4.5%以上増)を同時に実現することを要件とした、非常に意欲的な制度です。長期的なビジョン、戦略的な事業設計、的確な実行体制を整え、地域社会にも波及効果のある取り組みを計画することが、採択への第一歩となります。
そのためには、プレゼン審査に臨む経営者の表現力、そして信頼できる外部支援者との連携が鍵を握ります。自社の未来を見据えた大規模な一歩を踏み出す企業にとって、この補助金は極めて大きなチャンスです。

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