本記事では、東京都の「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金」を、対象者・使える取組・助成内容・国制度との違い・審査観点まで、申請実務に役立つ観点で徹底解説します。
目次
- 導入|この制度で何ができる?誰のための助成金か
- 第1章 申請できる事業者(該当性チェック)
- 第2章 対象となる取組(何に使えるか/使えないか)
- 第3章 助成内容(上限額・助成率・期間)
- 第4章 経済産業省補助金との比較
- 第5章 対象経費(費目と上限・留意点)
- 第6章 審査の方法と評価項目
- 第7章 まとめ
導入|この制度で何ができる?誰のための助成金か
「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金」は、都内の受注型中小企業が自社の技術やサービスを高度化・高付加価値化するための取り組みを支援する制度です。設備投資用の単なる資金補填ではなく、企業が持つ強みをさらに伸ばし、経営基盤を強化することを狙いとしています。具体的には、発注企業から委託を受けて部品やサービスを提供している中小企業が、自社の技術課題を解決し、競争力を高めるための投資に使えます。
第1章 申請できる事業者(該当性チェック)

本助成金の申請対象は、東京都内の受注型中小企業に限定されています。ここでいう「受注型」とは、発注企業の仕様や規格に基づいて製品やサービスを提供し、最終消費者に直接販売しない形態を指します。つまり、BtoB取引を中心とする企業が対象となります。そのうえで、申請にはいくつかの基本要件があります。ここでは本補助金特有の要件について、以下に記載いたします。
【基本要件(抜粋)】
- 都内に登記簿上の本店があること(個人事業主の場合は、都内税務署への開業届が必要)
- 申請時点で2年以上継続して事業を営んでいること(厳密にはR7年4/1時点で)
- 受注型中小企業であること(発注先の製品やサービスの一部を構成し、最終消費者に直接販売していない)
このように、本制度は「東京都限定」かつ「受注型中小企業限定」という特徴を持つ助成金であり、他の補助金にはない独自の条件設定がなされています。
第2章 対象となる取組(何に使えるか/使えないか)
この助成金は、自社の技術やサービスを高度化・高付加価値化するための取り組みに限定されています。特に「自社の技術的課題を解決すること」が前提条件となります。代表的な取組例としては次のようなものがあります。
- 受発注可視化システムの構築:業務効率化や納期短縮を実現
- 工程見直しによる短納期化・低コスト化:生産プロセス改善による競争力向上
- 外部専門家の技術指導:サービスや製造能力の底上げ
一方で、自社ブランドの最終製品開発や、消費者向けに直接提供するサービスなどは対象外です。助成対象は「BtoB型の受注事業」であることが大前提となります。さらに本制度は、企業が独自に技術力を高めて、自ら受注機会を拡大していくことを狙いとしています。そういった面でも、上記のようなシステム化や工程改善、外部指導の活用といった取組が重要な位置づけとなっています。
第3章 助成内容(上限額・助成率・期間)
本制度の支援規模は、事業者の規模によって上限が異なります。全国型の経産省系補助金に比べれば金額はコンパクトですが、都内中小企業の技術課題解決に焦点を当てた制度としては実用的で魅力的な水準です。
- 助成限度額:
小規模企業区分:1,000万円以内/一般区分:2,000万円以内 - 助成率:対象経費の3分の2以内
第4章 経済産業省補助金との比較
東京都の助成金は、国の補助金と比べると対象範囲が狭いものの、都内企業にとっては使いやすい制度です。違いを整理すると以下の通りです。
制度名 | 上限額 | 補助率 | 主な対象経費 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ものづくり補助金 | 最大4,000万円 | 最大2/3 | 機械やシステム投資 | 新製品・サービス開発支援 |
省力化補助金 | 最大1億円 | 最大2/3 | 省人化投資 | 大規模なDX・自動化投資向け |
新事業進出補助金 | 最大9,000万円 | 1/2 | 新市場開拓に必要な経費 | 成長分野進出を支援 |
明日にチャレンジ | 小規模1,000万/一般2,000万 | 2/3 | 競争力強化に資する経費 | 地域限定・課題解決型(受注企業) |
このように、国の制度と比べると規模は小さいものの、地域限定ならではの機動性があり、採択のチャンスも見込めます。また東京都の事業者限定のため、申請総数が国補助金と比較すると少なく、採択の競争率が低い可能性があります。
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第5章 対象経費(費目と上限・留意点)

対象となる経費は「直接的に技術開発やサービス高度化に関係するもの」に限られています。間接経費や量産目的の費用は認められません。主な対象経費は以下の通りです。
- 原材料・副資材費:試験用の鋼材や化学薬品など。ただし未使用分は対象外。
- 機械装置・工具器具費:マシニングセンタなど新品設備。中古は不可。
- 委託・外注加工費:大学や研究機関、専門業者への試作や検証委託。
- 産業財産権出願・導入費:特許出願やライセンス費用。
- 技術指導受入費:専門家からの指導謝金。
- 展示会出展・広告費:開発成果の展示会出展や広告活動。
- 直接人件費:自社の正社員によるソフトウェア開発。助成上限700万円。
このような経費が対象となっており、「直接的に技術開発やサービス高度化に関係するもの」であれば、範囲内で柔軟に活用できるのが本制度の特徴です。特に、ソフトウェア開発に従事する正社員の人件費が助成対象に含まれる点は、国の補助金と比較して特色のあるポイントといえます。
第6章 審査の方法と評価項目
助成事業の採択は、書類審査と面接審査によって行われます。特に「技術課題をどのように解決し、将来的にどんな効果を生むのか」が重視されます。評価観点は以下の通りです。
技術審査
- 事業目的との適合性
- 技術・サービスの優位性
- 計画の妥当性
- 目標の実現性
- 市場性・改善効果
経営審査
- 組織力
- 販売力
- 財務の健全性
【採択に向けた準備のポイント】
技術審査対策
- 課題の背景や必要性を定量的に示す(例:現在の精度○μm、必要精度△μm)
- 競合との差別化要素を明確化する(特許、独自ノウハウ、外部評価など)
- 期ごとの達成目標を数値で記載する(試作品台数、歩留まり改善率 等)
経営審査対策
- 自社組織の役割分担を図や表で整理して提示する
- 自社の現状分析をもとに補助金を使ってどういう姿になるかを、論理的かつストーリー性を持ってアピール
面接審査対策
- 「なぜこの助成金でなければならないのか」を一言で伝えられるように準備する
- 技術担当者と経営担当者が役割を分担して説明する(片方に偏らない)
- 想定質問(市場性、採算性、体制の継続性)に対して回答を整理しておく
こうした準備を整えることで、書類審査では説得力を、面接審査では信頼感を生み出すことができます。「技術の裏付け」と「経営の実行力」の両輪を示すことが、採択に直結する最大のポイントです。
第7章 まとめ
「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金」は、都内の受注型中小企業が技術課題を解決し、さらなる成長を目指すための制度です。都内限定であり、対象が明確に限定されているため、条件を満たす企業が経済産業省系の補助金と比較して、競争率が低いことが推測されます。
今後のアクション
- 自社が「受注型中小企業」に該当するか確認する
- 技術課題とその解決策を整理する
- 早めに専門家相談を活用してスケジュールを立てる
早期に取り組むことで、採択の可能性を大きく高めることができるでしょう。
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それでは次回の記事もお楽しみにしていてください!

早稲田大学卒業後、大手総合商社に勤務し、
企業成長と多様な働き方の両立を支援する株式会社WellFlagsを設立
ものづくり補助金やIT補助金等の補助金申請代行の専門家として、各種補助金のコンサルタント、申請代行を実施
高い採択率を誇る補助金申請プロサポートの代表コンサルタントとしても活動中