1. この助成金で何ができる?経営課題の解決策としての活用法
本制度の目的
公益財団法人東京都中小企業振興公社によると、中小企業は、コロナ後の需要回復や消費者ニーズの変化への即応が喫緊の課題となっています。一方、エネルギー、原材料価格や人件費の高騰が長期化しており、課題が山積しています。このため、中小企業の創意工夫を活かして、既存事業を「深化」・「発展」させる計画を作成した場合に各種支援を展開することで、都内中小事業者の経営基盤を強化することを目的としています。
つまりは、「深化」と「発展」が経営基盤の強化につながると認められた場合に、当該取組に必要な経費の一部を助成してもらえる仕組みです。
「深化」と「発展」とはなにか
- 深化=既存事業の効率化・高度化(足元を固める)
- 発展=新規市場・新事業への挑戦(未来を切り拓く)
と解釈するのが最もわかりやすいです。公式のサイトでは以下のように定義されています。

出典:事業環境変化に対応した経営基盤強化事業「公募要領」
2. 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業とは?
制度の目的と2025年度の大幅リニューアルポイント
本制度は、ポストコロナ・物価高騰・円安など激変する事業環境への対応支援が目的となっています。2025年度からは従来の「先着順廃止」により全申請者が審査対象となり、より公平で内容重視の制度にリニューアルしています。
また「小規模事業者向けアシストコース」が新設されました。深化と発展という表現は変わりませんが、取組例に「一般コース」との違いがあります。

出典:事業環境変化に対応した経営基盤強化事業「公募要領」
小規模事業者であっても「一般コース」の利用は可能です。
助成金額・助成率の詳細
助成金額と助成率は以下の通りです。投資金額や目的に合わせて適切に選択しましょう。

出典:公募要領より当社作成
対象外となる取組に注意
- 既存事業と関連性の薄い全く新しい事業
- 法令対応など義務的な取組
- 単純な設備更新(競争力向上に寄与しないもの)
3. どんな企業が対象?申請要件と対象範囲を詳しく解説
地域・事業者要件
- 所在地:東京都内に本店または事業所を有すること
- 実施場所:都内での事業実施(神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城・山梨での実施も本店が都内なら可)
- 事業者区分:中小企業基本法第2条に規定する中小企業者
重要な売上減少要件
- 直近決算で2023年決算期以降のいずれかと比べて売上減少
- 直近決算で損失(赤字)を計上
- 米国関税措置の影響で次期決算での売上減少見込み
個人事業主も申請可能: 法人格は不要。開業届提出済みで事業実態があれば対象。適正な帳簿管理と確定申告が前提条件。
対象外条件
- 令和6年度「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」交付決定事業者
- 同一事業内容での都の他助成金重複受給
- 公租公課滞納、帳簿不備がある事業者
4. 助成対象経費の詳細解説 何にどこまで使える?
- 機械装置費・設備投資: 生産設備、検査装置、自動化機器、厨房機器、医療機器など(ただしPC・スマホ・複合機は対象外)
- ソフトウェア・IT関連費: 業務管理システム、顧客管理、在庫管理、ECサイト構築、AI・IoTシステム(導入サポート費用含む)
- 委託・外注費: システム開発、設計・デザイン、市場調査、専門家指導、工事・施工(市場調査費・専門家指導費・販売促進費のみの申請は不可)
- 販売促進費(発展事業限定): 新商品・新サービスの広告宣伝、展示会出展、カタログ制作(既存事業の販促は対象外)
5. 年6回の申請スケジュールと戦略的タイミング
2025年度全公募スケジュール
今年度より、申請者全員が審査の対象となったので全員に等しくチャンスはあります。しかし終盤になるほど予算の都合上競争が激化する可能性が高いです。申請を検討する場合は早めの行動をおすすめします。
- 第1回:令和7年5月2日~5月14日(受付終了)
- 第2回:令和7年7月1日~7月14日(受付終了)
- 第3回(予定):令和7年9月1日~9月12日
- 第4回(予定):令和7年11月4日~11月14日
- 第5回(予定):令和8年1月5日~1月14日
- 第6回(予定):令和8年3月2日~3月13日
2025年8月現在、6回のうち2回は終了しています。申請の機会を逃さないようにしましょう!
6. 採択されやすい事業計画書の作り方
1. 審査官が注目する5つのポイント
- 発展性: 将来的な事業拡大にどう寄与するか。売上・利益・従業員数の中長期計画を提示。
- 市場性: 市場規模・成長性・競合状況を客観的データで示し、投資根拠を明確に。
- 実現性: 技術・資金・人材の面から計画の実行可能性を証明。
- 優位性: 自社の強みと導入予定の設備・システムを結び付け、競争優位性を説明。
- 自己分析力: 課題認識と改善策の妥当性を示す。リスクも正直に記載し対策を提示。
2. 賃上げ特例
従業員の賃上げに取り組む事業者に対しては補助率の優遇があります。
- 通常:補助対象経費の3分の2以内
- 賃上げ特例:中小企業は4分の3以内/小規模事業者は5分の4以内
条件:国が定める「年額平均で3%以上」または「一人当たり月額6,000円以上」の賃上げを計画・実施すること。
3. 面接審査対策
- 書類審査通過後の面接で不採択となるケースが増加。
- 評価される3要素:計画の理解度/実行意欲/対応力。
- 準備ポイント:数値根拠を即答できるよう準備。「なぜ?」への回答を事前に整理。
7. 採択後の事業実施と実績報告のポイント
- 事業実施期間: 交付決定日から1年以内に契約・実施・支払完了が必須。
- 実績報告書の注意点: 領収書・請求書の完備/設備の導入前後の写真/効果測定データの整備。
- アドバイザー派遣制度: 採択事業者向けに専門アドバイザーの支援あり。
当社で申請サポートを行った場合、実績報告まで伴走させていただきます。採択後まで見据えた準備が重要です。
お気軽にご相談ください
各種補助金についてのご相談をLINE又はお問い合わせフォームからお受けしています。
公式LINEアカウントの登録特典もご用意しておりますので、お気軽にご利用ください。

最後までお読みいただきありがとうございます。
今回は「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」について、その目的、対象、助成内容、申請方法、審査の視点などをご紹介しました。この助成金は、採択されれば最大800万円の事業強化の起爆剤が手に入る一方で、制度変更により先着審査ではなくなったため、高いレベルの申請書と採択後の実施報告が求められます。
Wellflagsではこれらの下準備から補助金採択後の経過報告まで伴走して支援させていただきます。興味がある方はお気軽にご相談ください。お待ちしております!
LINE公式アカウント始めました
WellFlagsではLINE公式アカウントで補助金情報、各種制度の発信を行っています! 登録特典もありますので、ぜひこちらからお友達登録をお願いします!


早稲田大学卒業後、大手総合商社に勤務し、
企業成長と多様な働き方の両立を支援する株式会社WellFlagsを設立
ものづくり補助金やIT補助金等の補助金申請代行の専門家として、各種補助金のコンサルタント、申請代行を実施
高い採択率を誇る補助金申請プロサポートの代表コンサルタントとしても活動中