序章:DXはホット/ただし建設業は遅れがち
近年、国全体でDX推進が強調され、企業のデジタル投資を後押しする仕組み(補助金・助成金・税制など)も整備されてきました。とくに中小企業向けには、ITツール導入や省力化投資を支援する制度が複数用意されています。
一方で、DXの取り組み状況を業種別にみると、製造業や建設業は遅れがちとされる調査・分析があり、「今から追いつく」必要性が高い業界です。
上記を踏まえ本記事では、建設業にスポットを当てて「DX投資に使える補助金」を投資テーマ別に整理していきます。

第1章:補助金の全体像+早見表(国の主要補助金+地方自治体補助金もある)
建設業のDX投資に使える支援策はさまざまですが、探し方として本記事では2系統に分けてご説明いたします。
- 経済産業省系(全国共通の主要補助金):ITツール導入、省力化投資、新事業・高付加価値化投資など
- 地方自治体(市区町村・都道府県の独自助成):地域の課題(人材確保、業務効率化、設備更新等)に合わせた支援。内容は自治体ごとに大きく異なる
また、読み進める前に注意点を2つだけ押さえてください。
- 地方自治体の制度は地域によって多種多様です。本記事では「例」として後半で一部を取り上げます。
- DXなら何でも対象ではありません。制度ごとの目的・申請枠(類型)・対象経費に合わせて投資内容を設計する必要があります。
早見表:投資テーマ→まず候補になる制度(建設業DX)
まずは全体像をつかめるよう、投資テーマ別に候補制度を整理しました。
| DX投資テーマ | 代表例 | 候補になる制度 |
|---|---|---|
| バックオフィスDX | 原価/工事台帳、勤怠、会計、電子請求、ワークフロー | IT導入補助金(令和8年度以降は「デジタル化・AI導入補助金」の名称で案内) |
| 現場の省力化・自動化 | 省力化機器+連携システム、現場データ収集・分析 | 中小企業省力化投資補助金(一般型/カタログ注文型) |
| 新サービス提供・新事業のシステム投資 | 新サービス提供基盤、業務フローを製品化して販売 | 新事業進出補助金、ものづくり補助金 |
| 地方自治体の助成 | 地域により様々(人材確保・育成、IT導入等) | 例:横浜市 建設業活性化対策助成金/(東京)事業環境変化に対応した経営基盤強化事業 |
この早見表で「自社の投資テーマ」が見えたら、次章以降で制度ごとの使いどころを具体化していきます。
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第2章:デジタル化・AI導入補助金(=IT導入補助金)—建設業で「どんなシステム」に使われやすいか

バックオフィスDXの王道が、ITツール導入を支援する「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)」です。本年度(令和8年度)からは制度名が「デジタル化・AI導入補助金」として変更される予定です。現時点では、従来のIT導入補助金から大幅な制度変更はない見込みですが、対象要件や申請類型、対象経費の細かな扱いは公募要領で確定するため、正式な公募要領が公開され次第、本メディアでも変更点と実務上の注意点を整理した詳細記事をアップデートします。
この制度を建設業の文脈で見ると、「紙・Excel・属人管理になりがちな管理業務」を標準化しやすいものになります。
建設業での導入システム例
- 工事台帳・原価管理:案件別の採算(見積→実行→請求)を見える化
- 見積〜請求の一気通貫:請求書発行、入金管理、承認フローの整備
- 勤怠・給与・労務:現場の出退勤、残業管理、給与計算・明細配布の効率化
- 現場日報・写真管理・電子黒板等:現場⇄事務の情報連携(入力の二度手間を減らし作業効率を上げる)
記事で押さえる注意点
- 補助対象は基本的に、事務局に登録されたITツール(パッケージ中心)です。ゼロからのスクラッチ開発を自由に補助対象にするタイプではありません。したがってツールの自由度は他補助金と比較して低めになりやすい傾向にあります。
- 申請は、登録された支援事業者と連携して進める仕組みが基本です。
この章のポイントは、「まずはバックオフィスの標準化から」という企業にとって、制度との相性が良い可能性があることです。次章では、現場の省力化・人手不足対策に直結しやすい制度を見ていきます。
第3章:中小企業省力化投資補助金(一般型/カタログ注文型)—省力化×DXの使い方
建設業のDX投資は「IT導入だけ」では完結しないことも多く、現場の省力化や人手不足対策とセットで考えたい場面が出てきます。そこで候補に入りやすいのが、中小企業省力化投資補助金です。
この制度は大きく、カタログ注文型と一般型があり、考え方が異なります。まずそれぞれの制度の概要からご説明いたします。
- カタログ注文型:事前に登録された省力化製品カタログから選んで導入(汎用品寄り、選択型)
- 一般型:現場に合わせた設備導入・システム構築など、より幅広い省力化投資(オーダーメイド性を含む)
建設業での投資例
カタログ注文型(自由度は低いが、選びやすい)
- 省力化機器の導入(カタログ掲載製品)+稼働データの収集・活用
一般型(自由度が高く、設計・説明が重要になりやすい)
- 現場写真・検査記録のデジタル化(紙→スマホ→自動整理)
例:これまで「紙のチェックシート+写真を後でExcel貼り付け」だったものを、現場でスマホ入力→写真と紐付け→自動で案件フォルダに整理→事務所でそのまま報告書出力できる仕組みにする。
→ 記録作業の二度手間(現場→事務所の転記)を減らすイメージです。 - 複数現場の進捗・人員配置の見える化(“今どこが詰まっているか”を1画面で)
例:各現場の「工程の遅れ」「出来高」「必要人員」「協力会社の手配状況」を日報入力と連動させ、管理者がダッシュボードで確認できる仕組みにする。
→ 朝礼・電話での確認が減り、応援手配や工程調整を早く回せるイメージです。 - 見積・原価のブレを減らす(過去実績を活かす)
例:過去工事の実績(工種別の人工、材料、外注費)を蓄積し、新規案件の見積作成時に「類似案件の実績」を自動で参照できるようにする。
→ “担当者の経験頼み”になりがちな見積を標準化するイメージです。 - AI活用(“入力・整理”の自動化に寄せると伝わりやすい)
例:現場日報の音声入力→自動で文章化→工種/作業内容/使用機材を分類して日報に反映、写真のタグ付けも自動化する。
→ “書く・まとめる・探す”の手間を減らすイメージです。
注意点
一般型は、カタログ注文型よりも「省力化効果の説明」や「投資内容の妥当性」など、計画面の説明が求められやすい傾向があります。自由度が高い分だけ「なぜその投資が省力化につながるのか」を説明する設計が重要になります。
詳しい制度の概要につきましては別の記事を作成しておりますので、合わせてそちらもご覧ください。
第4章:新事業進出・ものづくり補助金—どのような取り組みが当てはまるか

建設業のDX投資は、既存業務の効率化だけでなく、「自社の強みを新サービスとして提供する」「業務ノウハウを仕組みにして販売する」といった新事業につながるケースもあります。その場合、候補になりやすいのが、新事業進出・ものづくり補助金です。本補助金は本年度から「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合されたものになります。現在のところ旧制度から大きな変更はございませんが、公募要領が公開され次第詳細情報を解説いたします。
以下からは本補助金における活用事例を記載いたします。
建設業での使われ方イメージ(例)
- 施工管理ノウハウの外販:自社で使っていた工程・安全チェックの運用をアプリ化し、協力会社や同業向けに「入力・写真・是正管理」ができるサービスとして販売する。
- 土木工事を行っていた会社が、足場工事・解体工事・外構工事に進出:土木工事を主力としてきた会社が、事業領域を足場工事・解体工事・外構工事へ広げ、建設現場の前工程から仕上げ工程までを一貫して対応できる体制へ移行する。
注意点
「新事業」の定義や要件は制度ごとに読み込みが必要で複雑です。以下に新事業進出補助金の概要について詳しく記載した記事のリンクを記載します。
なお、令和8年度(2026年度)以降は、ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合される見込みとされています。現時点では詳細が出揃っていないため、上記記事から情報が変更される可能性があります。最新の公募要領が公開され次第、別記事で解説いたします。
第5章:地方自治体の補助金の検討
国の主要補助金を一通り検討しても、「制度の目的や対象経費に合わず、補助金があてはまらない」ということがあります。そうした場合でも、選択肢を国の制度だけに絞ってしまうのはもったいありません。都道府県や市区町村が実施する補助金・助成金の中には、建設業の実務課題に沿って使いやすいものが見つかることがあります。特に、自治体は地域の課題に予算をつける傾向があるため、以上の点は押さえておきたいポイントです。
一方で、自治体の制度は全国共通ではなく、自治体ごとに内容が大きく異なります。そのため、まずはシンプルに事業所の所在地から探して見ましょう。検索する際は「本社の所在地(都道府県・市区町村名)+補助金(助成金)+DX/IT/建設業/設備投資」のように組み合わせて調べ、候補が見つかったら募集要項で条件を確認します。とくに、次の4点は最初に見ておくことをおすすめします。
- 受付期間・予算額:予算枠が埋まり次第、予定より早く締め切られることがあります。
- 基本要件・対象者:どのような取組が対象か。また補助金を申請する資格があるかの確認。
- 対象経費:何の経費が対象で、何が対象外なのか。
- 申請書類:複雑な事業計画書が必要になる場合があります。
ここからはイメージを持っていただくために、自治体制度の例を2つ挙げます。
| 制度名 | 実施エリア | 制度のねらい(ざっくり) | 想定される活用テーマ | 主な確認ポイント(申請前) |
|---|---|---|---|---|
| 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(東京都) | 東京都 | 既存事業の発展・深化に向けた経営基盤強化を支援 | IT導入、業務改善、販路・広報の強化など(コースにより異なる) | コース区分/対象経費/上限額/申請要件(都内要件等)/募集期間 |
| 建設業活性化対策助成金(横浜市) | 横浜市 | 建設業の活性化、人材確保・育成等の取組を支援 | 採用・育成、現場環境整備、PR・広報、(制度上認められる範囲で)デジタル活用 | 市内要件(本拠等)/対象となる取組の範囲/対象経費/上限額/募集期間 |
国の主要補助金で合うものが見つからないときほど、自治体の制度もあわせて確認しておくと、投資の選択肢が広がります。建設業のDX投資はテーマが幅広い分、国と自治体を並行して見ていくほうが、現実的に前に進めやすい場面が多いはずです。
以下に上記2つの補助金のリンクを記載します。
最終章:まとめ
ここまでの整理を、最後に投資テーマ別に回収します。建設業のDX投資は幅が広い分、「どの制度に当てはめるか」を先に調べると、検討がスムーズになります。
まとめ(投資テーマ→候補の考え方)
- バックオフィスDX:IT導入補助金(=デジタル化・AI導入補助金の枠組み)
- 省力化・現場改善:中小企業省力化投資補助金(一般型/カタログ注文型)
- 新規事業、新サービス:新事業進出・ものづくり補助金
- 国制度が合わない:自治体助成も要チェック
当社では、「制度が合うかの整理」「建設業で使える補助金の棚卸し」など、検討初期の段階から無料相談で対応しています。投資テーマが固まりきっていない段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
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早稲田大学卒業後、大手総合商社に勤務し、
企業成長と多様な働き方の両立を支援する株式会社WellFlagsを設立
ものづくり補助金やIT補助金等の補助金申請代行の専門家として、各種補助金のコンサルタント、申請代行を実施
高い採択率を誇る補助金申請プロサポートの代表コンサルタントとしても活動中

