事業継続力強化計画とは?補助金加点+防災のW効果|5つの認定メリットと申請の流れ【2026年最新】

事業継続力強化計画とは?補助金加点+防災のW効果|5つの認定メリットと申請の流れ【2026年最新】

事業継続力強化計画は、中小企業が自然災害などへの備えを計画にまとめ、経済産業大臣の認定を受けられる国の制度です。中小企業のための取り組みやすいBCP(事業継続計画)と位置づけられており、認定を受けると、防災力の強化に加えて、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金や省力化投資補助金、小規模事業者持続化補助金といった主要な補助金の審査で加点を受けられます。さらに、防災設備の特別償却16%、日本政策金融公庫の低利融資、損害保険料の割引など、経営面のメリットが幅広いのも特長です。申請は無料で、定型の様式に沿って自社で作成できます。本記事では、5つの認定メリットと計画に書く内容、電子申請の流れまで、はじめての方にもわかるように整理しました。

事業継続力強化計画の基本情報

項目内容
制度名事業継続力強化計画認定制度(中小企業等経営強化法に基づく認定)
認定者経済産業大臣
対象中小企業・小規模事業者(個人事業主・企業組合等も対象。業種ごとの規模要件あり)
申請方法事業継続力強化計画電子申請システム(GビズIDプライムまたはメンバーのアカウントが必要)
審査期間標準処理期間45日
計画実施期間上限3年
類型単独型(自社のみで策定)連携型(複数の事業者で連携して策定)

出典:中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度の概要」(令和8年7月17日版)

事業継続力強化計画とは|中小企業のための取り組みやすいBCP

事業継続力強化計画とは、中小企業・小規模事業者が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むための計画です。地震や豪雨で被災したとき、まず何をするか、人・設備・資金・情報をどう守るかを定型の様式に沿って整理し、経済産業大臣の認定を受けます。

本格的なBCPを一から作ろうとすると、被害想定や復旧手順の検討に相当な時間がかかり、途中で挫折してしまう会社が少なくありません。事業継続力強化計画は、記載する項目が最初から決まっており、必要な内容に絞って作れるのが持ち味です。BCPとの違いを整理すると次のとおりです。

比較項目事業継続力強化計画一般的なBCP
位置づけ防災・減災の第一歩となる入門版事業継続の総合計画
様式定型(決まった項目を埋める)自由(自社で設計)
国の認定あり(経済産業大臣)なし
作成の負担比較的小さい大きい
優遇措置補助金加点・税制・金融支援など原則なし

計画は自社のみで作る単独型のほか、サプライチェーンでつながる複数の事業者がまとまって作る連携型もあります。計画の実施期間は最長3年で、期間が終わったあとも2回目以降の申請で継続できます。

最近は、取引先や金融機関、元請から災害時の対応体制を尋ねられる場面も増えています。事業継続力強化計画は、そうした問い合わせに国の認定という形で答えられる、もっとも手軽な手段でもあります。まずはこの計画から始めて、事業の成長に合わせて本格的なBCPへ発展させていく、という段階的な使い方が現実的です。

認定メリット① 補助金の加点|対象補助金一覧【2026年版】

実務でもっとも活用されているのが補助金の加点です。認定を受けた事業者は、次の補助金の審査で加点措置を受けられます。

加点対象の補助金概要
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金革新的な新製品・新サービス開発や新市場への進出、海外展開を支援
中小企業省力化投資補助金(一般型)人手不足に対応する省力化のための設備投資等を支援
事業承継・M&A補助金(事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠)事業承継に伴う設備投資、M&A時の専門家活用等を支援
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠/創業型)小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援

また、上記以外の地方補助金でも加点の対象になるケースがあります。補助金の採択は加点の積み上げで差がつきます。事業継続力強化計画は、申請が無料で、他の認定制度と比べても取り組みやすいため、費用対効果の高い加点として位置づけられています。

加点を受けるには、原則として補助金の申請締切までに認定を受けている必要があります。補助金の公募が始まってから慌てて動いても間に合わないことが多いため、使う予定の補助金が決まっているなら、公募スケジュールより先に認定を取っておくのが確実です。

注意したいのはスケジュールです。認定審査の標準処理期間は45日で、申請に必要なGビズIDの取得にも2週間程度かかります。補助金の締切に間に合わせるには、遅くとも締切の2〜3か月前には着手しておくと安心です。なお、大規模な災害が起きた際の復旧支援(なりわい再建支援補助金など)では、申請時にこの認定書類の提出を求められることがあり、災害時の備えとしても意味を持ちます。

認定メリット②〜⑤|税制優遇・低利融資・保険料割引・信用力

加点以外にも、認定事業者は次のメリットを受けられます。

メリット内容
② 税制優遇防災・減災設備の特別償却16%(中小企業防災・減災投資促進税制)
③ 金融支援日本政策金融公庫の低利融資、信用保証協会の別枠保証など
④ 保険料割引損害保険各社が保険料の割引を個別に検討
⑤ 信用力の向上認定ロゴマークの使用、中小企業庁HPでの事業者名の公表

② 防災・減災設備の特別償却16%

認定を受けた日から1年以内に、計画に記載した防災・減災設備を取得して事業に使った場合、取得価額の16%を特別償却できます。対象になるのは次の設備です。

減価償却資産の種類(取得価額要件)対象となる設備の例
機械及び装置(100万円以上)自家発電設備、浄水装置、揚水ポンプ、排水ポンプ、耐震・制震・免震装置 等
器具及び備品(40万円以上)自然災害の影響軽減に資する機能を有する全ての設備
建物附属設備(60万円以上)自家発電設備、無停電電源装置、貯水タンク、止水板、防水シャッター、耐震・制震・免震装置 等

この税制の対象になるのは、令和9年(2027年)3月31日までに認定を受けた事業者です。適用には青色申告などの要件があるため、活用を検討する場合は税理士や最寄りの税務署に確認してください。

③ 日本政策金融公庫の低利融資・信用保証の別枠

認定事業者が計画の実行に必要な設備投資を行う場合、日本政策金融公庫の融資で、設備資金は基準利率から0.9%、運転資金は0.4%の引下げを受けられます。また、信用保証協会の保証では、普通保険2億円とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が用意されています。いずれも別途、公庫や保証協会の審査が必要なので、計画の提出前に関係機関へ相談しておくとスムーズです。

④ 損害保険料の割引

東京海上日動、損害保険ジャパン、三井住友海上をはじめとする損害保険各社が、認定事業者に対して、リスク実態に応じた保険料の割引を個別に検討する取り扱いを公表しています。火災保険や地震関連の特約を見直すタイミングがあれば、認定を材料に保険会社へ相談してみる価値があります。

⑤ 認定ロゴマークと事業者名の公表

認定を受けると、認定ロゴマークを名刺や会社案内、ホームページなどの広報活動に使用できます。認定事業者名は中小企業庁のホームページでも公表されるため、取引先や金融機関に対して、災害への備えができている会社であることを示す材料になります。建設業などでは、取引先からのBCP関連の問い合わせへの回答としても活用されています。

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計画に書く内容と作り方の4ステップ

ステップやること使えるツール・資料
STEP1災害リスクの確認自社の所在地でどんな災害が起こり得るかを調べるハザードマップポータルサイト、J-SHIS地震ハザードステーション(いずれも無料)
STEP2初動対応の整理発災直後の安否確認、避難、被害状況の把握手順を決める策定の手引き(中小企業庁)
STEP3事前対策の検討ヒト・モノ・カネ・情報の4つの視点で被害を減らす対策を書くリスクファイナンス判断シート 等
STEP4推進体制づくり経営者主導の体制と、年1回以上の訓練・見直しを決める中小機構の策定支援・セミナー

計画に記載する内容は大きく4つです。順番に埋めていけば形になるよう、様式が設計されています。STEP1の災害リスクは、国が無料で公開しているハザードマップポータルサイトやJ-SHISで、住所を入れるだけで震度確率や浸水想定を調べられます。STEP3の事前対策は、人材の多能工化や訓練(ヒト)、設備の固定やデータのバックアップ(モノ・情報)、保険の見直しや手元資金の確保(カネ)といった具合に、今できていることと、これから取り組むことを分けて書くのがコツです。

事前対策は、すべてを一度に整える必要はありません。すでにやっていること(火災保険への加入、データのクラウド保存など)を現在の取組として書き、これから取り組むこと(設備の固定、非常用電源の検討など)を今後の計画として書き分ければ、現状のままでも計画として成立します。認定のために新たな投資が求められる制度ではない、という点は安心材料です。

なお、様式を埋めること自体が目的になってしまうと、災害時に使えない計画になります。自社の事業が止まったとき、顧客や地域に何が起きるかから逆算して書くと、審査でも実務でも意味のある計画になります。

申請の流れと注意点|電子申請システムで完結

申請から認定までの流れは次のとおりです。書面ではなく、専用の電子申請システムから申請します。

ステップ内容期間の目安
1. GビズIDの取得GビズIDプライム(またはメンバー)のアカウントを取得2週間程度
2. 計画の作成策定の手引きを参照しながら様式に沿って作成1〜2週間程度
3. 電子申請事業継続力強化計画電子申請システムから申請(単独型はシステム内で直接入力)
4. 審査・認定経済産業局による審査を経て認定通知書が交付される標準処理期間45日
5. 取組の実行計画に基づき訓練・見直しを実施計画期間(最長3年)

注意点は3つあります。1つめはスケジュールで、事業継続力強化計画の標準処理期間は45日で、不備があった場合は登録完了までにそれ以上の期間を有するので早めの対応が必要です。補助金の加点に使う場合は締切から逆算して早めに動いてください。2つめは、認定事業者名が中小企業庁のホームページで公表されることです。3つめは、認定はゴールではないことです。計画期間中は取組の実行と見直しが求められ、2回目以降の申請では直近の計画の実施状況報告が必要になります。

税制優遇や金融支援の活用を予定している場合は、要件や手続きの確認のため、計画を提出する前に日本政策金融公庫や信用保証協会など関係機関に相談することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 個人事業主でも認定を受けられますか?

受けられます。開業届を提出している個人事業主であれば申請でき、従業員のいない事業者でも認定の対象です。法人の場合は法人設立登記がされていることが要件になります。

Q2. 認定までどのくらいかかりますか?

審査の標準処理期間は45日です。申請に必要なGビズIDの取得に2週間程度かかるため、着手から認定までは2か月前後を見込んでおくと安心です。補助金の加点に使う場合は、補助金の締切の2〜3か月前には着手してください。

Q3. 以前取得した事業継続力強化計画の事業計画期間が終了している場合、補助金の対象になりますか?

補助金の制度によりますが、基本的には対象外となるため、再度取り直していただく必要がございます。過去に事業継続力強化計画の認定を受けた方は、事業計画期間をご確認いただくことをおすすめいたします。

まとめ|費用対効果の高い認定制度

事業継続力強化計画は、防災対策の第一歩と補助金の加点を同時に実現できる、費用対効果の高い認定制度です。加点対象は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、省力化投資補助金(一般型)、事業承継・M&A補助金、小規模事業者持続化補助金と、中小企業がよく使う補助金が並びます。防災設備の特別償却16%、公庫の低利融資、損害保険料の割引まで含めれば、申請無料の制度としては異例の充実ぶりです。

認定までは、GビズIDの取得も含めておおむね2か月前後。補助金の締切から逆算すると、思い立った今が動きどきです。計画の内容や書き方で迷うことがあれば、無料相談をご利用ください。

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この記事を書いた人
奥山 大地(中小企業診断士/株式会社WellFlags 代表取締役)早稲田大学卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。アジア各国での海外勤務を通じて数多くの中小企業の販路開拓・事業支援に携わる。
2019年に中小企業診断士として登録し、株式会社WellFlagsを設立。補助金申請支援を中心に、中小企業・小規模事業者の設備投資、新規事業、業務効率化、販路開拓などを支援。これまで700社以上の補助金相談に対応し、補助金審査員としての経験も持つ。

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