具体例付きでわかりやすく解説
補助金を申請するとき、
「決算書のどこを見ればいいの?」
「赤字だと申請できない?」
「売上や利益は審査でどのように見られる?」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
補助金申請では、決算書は単なる提出書類ではありません。
会社の売上・利益・純資産・現預金・借入金などを確認し、
「この会社が本当に補助事業を実行できるのか」
を考えるための重要な資料になります。
今更聞けない決算書の見方などをおさらいしたい方はこちら!
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今回は、まず補助金の審査ではどのような点が見られるのかを整理したうえで、決算書で確認しておきたい5つのポイントを具体例付きで解説します。
補助金の審査では何を見られる?
補助金によって具体的な審査項目や配点は異なりますが、決算書を見る際は、主に「会社規模」「収益力」「財務状態」「資金力」「投資後の成長性」の5つの視点を確認します。

補助金申請で決算書を見る5つのポイント
① 売上高|投資額と会社規模のバランスを見る
まず確認したいのが売上高です。
売上高から、その会社のおおよその事業規模を把握できます。
具体例
年間売上高が5,000万円の会社が、
3,000万円の設備投資
を行う場合を考えます。
投資額は年間売上高の60%に相当するため、会社にとって非常に大きな投資です。
そのため、
- なぜこれほど大きな投資が必要なのか
- 投資後にどのくらい売上を増やせるのか
- 現在の売上規模に対して投資額が過大ではないか
といった点を確認します。補助金審査では、会社規模に対して過剰な投資になっていないかを判断する材料になります。
また、できれば過去2~3期の売上推移も確認しましょう。
② 営業利益|本業で利益を出せているかを見る
次に見るのが営業利益です。
具体例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 5,000万円 |
| 売上原価 | 3,000万円 |
| 売上総利益 | 2,000万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 2,300万円 |
| 営業利益 | ▲300万円 |
この会社は売上5,000万円ありますが、本業では300万円の赤字です。
この場合には、
設備投資によって何を改善し、どう黒字化するのか
まで確認します。
赤字だから一律に申請できないわけではありませんが、赤字の原因と今後の改善計画を整理し、投資後も事業を継続して計画を実行できる収益力があることを説明できるようにしておくことが重要です。
③ 純資産|債務超過か否かで財務状態を見る
3つ目に確認したいのが、貸借対照表の純資産です。
具体例
- 資産合計:3,000万円
- 負債合計:3,500万円
- 純資産:▲500万円
この会社は負債が資産を500万円上回っており、純資産がマイナスの債務超過状態です。
そのため、
「売上や利益が出ているから大丈夫」
とは単純に判断できません。
債務超過の場合は、財務基盤や事業継続性の観点から、債務超過となった原因や解消の見通しを整理しておくことが重要です。
④ 現預金・資金繰り|補助金入金前に代金を支払えるか
現預金や借入状況から、補助金が入金されるまでの資金繰りに無理がないかを確認します。補助金では、最終的な自己負担額だけでなく、一時的に必要になる資金も考える必要があります。
具体例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 設備価格 | 1,000万円 |
| 補助金予定額 | 500万円 |
| 最終的な自己負担 | 500万円 |
自己負担は500万円ですが、補助金が後から交付される場合には、一時的に1,000万円を用意しなければなりません。
現預金が300万円しかなければ、
1,000万円 − 300万円 = 700万円不足
です。
そのため、現預金だけで不足する場合は、金融機関からの借入なども含め、補助金入金までの資金繰りに無理がないかを事前に確認します。
⑤ 賃上げ・付加価値・労働生産性|投資後の成長性を見る
最後に確認したいのが、
「設備投資によって会社の数字がどう変わるのか」
です。
例えば、
投資前
- 営業利益:300万円
- 付加価値額:2,400万円
- 従業員数:8人
- 労働生産性:300万円/人
- 給与支給総額:3,000万円
だった会社が、設備投資によって、
投資後
- 営業利益:600万円
- 付加価値額:3,000万円
- 従業員数:8人
- 労働生産性:375万円/人
- 給与支給総額:3,278万円
まで改善するとします。

このように、
設備投資
↓
生産性向上
↓
売上・利益増加
↓
付加価値額・労働生産性向上
↓
賃上げ
まで一連の流れとして考えることがポイントです。
※最近は補助金の申請要件に「賃上げ」、「付加価値」、「労働生産性の向上が」があることが多く、要件になっていなくてもこれらの指標は重要項目として見られるため、申請書でも特に気をつける必要があります。
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補助金申請では「良い設備」だけでは足りない
補助金申請では、
「高性能な設備だから導入したい」
だけでは不十分です。

重要なのは、投資が会社の成長や賃上げにつながっていることを、決算書の数字と事業計画で一貫して説明することです。
まとめ|決算書の数字から事業計画の実現可能性を見る
補助金申請では、決算書を単に、
「黒字か赤字か」
だけで見るわけではありません。
確認したいのは、
- 売上高
→ 投資額に対して売上規模が妥当か - 営業利益
→ 本業の収益力や赤字の場合の改善見通し - 純資産
→ 債務超過ではないか、財務状態に問題がないか - 現預金・資金繰り
→ 補助金入金前の立替資金を確保し、補助事業を実行できるか - 賃上げ・付加価値・労働生産性
→ 投資後に会社が成長し、賃上げ目標を実現できるか
という5つの視点です。
決算書は「これまでの数字」、補助金の事業計画は「これからの数字」です。
過去の決算書を出発点として、
この設備を導入したら、作業時間・売上・利益・付加価値・労働生産性・賃金がどう変わるのか
までつなげて考えることが、補助金申請では重要になります。
※実際の審査項目、賃上げ要件、付加価値額・労働生産性の算定方法は補助金ごとに異なります。申請する制度の最新の公募要領等をご確認ください。
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