中東情勢緊急対策助成金|第3回は11月30日締切予定、助成率4/5・最大2,000万円の東京都の支援策

[第3回 11月30日締め切り予定] 中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業 助成率4/5・最大2000万円|業績が下がった都内の中小企業向け

中東情勢緊急対策助成金として、東京都中小企業振興公社が令和8年度に新しく始めたのが「中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業」です。中東情勢の緊迫による原油高で、原材料や燃料、物流の費用が上がっています。値上がり分を販売価格に反映しきれず、利益が圧迫されている中小企業も少なくありません。この助成金は、原材料費を減らす設備やシステムの導入などにかかる費用の4/5を、最大2,000万円まで助成するものです。

第1回・第2回の申請受付は、すでに終了しています。第3回の申請受付は令和8年11月2日から11月30日まで(予定)で、第4回以降の募集予定は公表されていません。国の主な補助金と比べると、助成率が高く、賃上げも必須ではない点が大きな特徴です。本記事では、制度の中身とメリット、対象になる会社の条件、締切までの準備を解説します。

項目内容
制度名中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業
実施主体公益財団法人 東京都中小企業振興公社
目的原材料費の縮減や価格転嫁に向けた取組の緊急支援
対象者業績が下がっている都内の中小企業者個人事業主も対象
助成率助成対象経費の4/5以内
助成限度額2,000万円
助成対象期間交付決定日から1年間
第3回の申請受付令和8年11月2日(月)〜11月30日(月)予定
申請方法Jグランツによる電子申請※GビズIDプライムが必要
公式ページ東京都中小企業振興公社の事業ページ

第3回の申請スケジュール

手続き日程
申請受付令和8年11月2日(月)〜11月30日(月)予定
書類審査令和8年12月〜
面接審査令和9年1月下旬〜2月上旬
交付決定令和9年2月26日予定申請額100万円以下は1月29日予定

※日程はいずれも予定です。受付の時刻とあわせて、公式ページでご確認ください。

中東情勢緊急対策助成金とは

補助金申請プロサポート|中小企業の成長を支援 中東情勢緊急対策助成金|第3回は11月30日締切予定、助成率4/5・最大2,000万円の東京都の支援策

中東情勢の緊迫による原油価格の上昇は、原材料や燃料、物流費の値上がりにつながります。こうした値上がりは、国際市況や地政学的なリスクといった外の要因によるものです。価格転嫁が進みにくい中小企業が、自社の努力だけで吸収するには限界があります。そこで東京都中小企業振興公社は、原材料費を減らす取組や価格転嫁に向けた取組を緊急的に支援するため、この助成金を設けました。

助成の対象は、値上がり分の補填ではなく、原材料費を減らしたり価格転嫁を進めたりする取組にかかる費用です。たとえば、原材料の使用量を減らす機器や、不良品を減らして歩留まりを上げる検査装置の導入が当たります。素材を安いものに置き換えるだけの取組は対象外です。

使える経費は、次の9区分です。新しい設備だけでなく、今ある設備を改良する費用や、新商品をPRする展示会の出展費も対象になります。

経費区分具体例対象外の例
原材料・副資材費取組で使う鋼材・部品・化学薬品、試作品に組み込む部品販売用の製品や材料、原材料を置き換えるだけの購入、使い切れずに残ったもの
機械装置・工具器具費製造機械、検査機器、金型、治具(購入・リース・レンタル)中古品、税抜5万円未満のもの、自社以外に置くもの
機器・システム改良費代替素材に対応する設備の改良、歩留まりを上げる工程の改良、省エネ部品への改良自社で改良する費用、販売する製品そのものの改良
委託・外注費開発・試験、試料の製造・加工・分析開発や改良の要素がないデザイン・翻訳、販売用の商品の制作
設備等導入費設備・備品の購入費、設置工事、搬入・据付費税抜5万円未満のもの、設計費、保守費
システム等導入費システムの構築・改修、ソフトウェアの購入、クラウドサービスの利用税抜5万円未満のもの、パソコン、仕様書の作成などのコンサルティング費用
専門家指導費※外部の専門家への謝金・交通費、外部研修の受講料申請手続きの助言や書類作成の代行、顧問契約先からの指導
販路開拓経費(上限500万円)自社Webサイトの制作・改修、チラシ、PR動画、広告、展示会の出展記事の更新だけのWebサイト改修、事業者名や取組が載っていない制作物
その他経費※(上限100万円)ほかの区分に当たらない、取組に直接必要な経費取組に直接必要ではないもの、税抜5万円未満のもの

※専門家指導費とその他経費は、それだけでは申請できません。

対象になる取組と対象外の取組は、たとえば次のとおりです。

対象になる取組の例対象外の取組
建設現場での塗料の使用量を減らす機器の導入これまでの事業との関連が薄い取組
不良品を早く見つけて歩留まりを上げる検査装置の導入法令改正への対応など、義務的な取組
代替素材を使った新商品をPRする展示会出展老朽化した設備を更新するだけの取組
インクの在庫ロスを減らす発注管理システムの構築原材料を置き換えるだけの取組

国の補助金と比べた一番のメリット|助成率4/5で賃上げも必須ではない

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この助成金の一番のメリットは、業績が下がっていても、助成率4/5で設備やシステムに投資でき、賃上げも必須ではないことです。

国の主な設備投資の補助金は、補助率が1/2を基本にしています。また、3〜5年の事業計画で従業員の1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増やす目標を立て、達成できなければ補助金の一部を返す仕組みです。これらの補助金と比べ、この助成金は助成率が4/5と高く、賃上げの要件もありません。取組の期間も交付決定から1年間です。

たとえば助成対象経費が2,500万円の場合、その4/5に当たる2,000万円が助成されます。

※上限額は、国の補助金のほうが大きい場合もあります。たとえば中小企業省力化投資補助金(一般型)の上限額は従業員数で変わり、大幅な賃上げの特例を使うと最大で1億円になります。

項目中東情勢緊急対策助成金中小企業省力化投資補助金(一般型)新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
助成率・補助率4/5以内1/2〜2/31/2〜2/3
業績が下がっていること必要不要不要
賃上げの要件なしあり未達だと返還あり未達だと返還

出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)P.9〜P.11、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)P.6〜P.12

東京都の設備投資の助成金は、次の記事で解説しております。

対象になる会社の4つの条件

この助成金を使えるのは、次の4つの条件をすべて満たす会社です。

条件中身
①都内の中小企業者会社と個人事業主大企業が実質的に経営に参加していない
②都内で事業をしている法人は都内に本店の登記個人事業主は都内に納税地
③業績が下がっている営業利益率の低下または営業赤字
④取組を行う場所都内の事業所近隣7県なら本店が都内

①都内の中小企業者である

対象は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社・有限会社と、個人事業主です。中小企業者に当たるかどうかは、業種ごとに資本金か従業員数のどちらかを満たすかで決まります。

業種資本金従業員数
製造業・建設業・運輸業など3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

※ゴム製品製造業や旅館業など、基準が違う業種もあります。また、大企業が発行済株式の2分の1以上を持っている場合などは、大企業が実質的に経営に参加しているものとして扱われます。

②都内で事業をしている

法人は本店の登記が都内にあること、個人事業主は納税地が都内にあることが条件です。取組を都内で行う場合は、支店の登記でも構いません。登記があるだけでなく、ホームページや看板、従業員の雇用の状況などから、都内で実際に事業をしていると判断されることも必要です。

③業績が下がっている

申請受付の開始日の時点で、次の3つのうちどれか1つに当てはまる必要があります。見るのは利益の「額」ではなく「率」です。

実績:直近の決算の営業利益率が、前期より下がった

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図1 実績で当てはまる例

売上が伸びて利益の額が増えていても、営業利益率が下がっていれば当てはまります。

見込み:次の決算の営業利益率が、直近より下がる見込み

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図2 見込みで当てはまる例

見込みで申請する場合は、直近の決算期末の翌月から申請する月の前月までの月次試算表を出し、その平均を12か月分に直して次の決算を計算します。

赤字:直近の決算で営業損失が出た

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図3 営業赤字で当てはまる例

営業損失が出ていれば、営業利益率を比べる必要はありません。

④取組を行う場所

取組は、自社が所有または賃借している本社・事業所・工場などで行います。都内で行う場合は、都内に本店か支店の登記があることが条件です。神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県・山梨県で行う場合は、本店の登記が都内にあることが条件です。

このほか、税金を滞納していないことや、同じテーマで他の補助金を受けていないことなどの要件もあります。詳しくは公式ページの募集要項をご確認ください。

お気軽にご相談ください

11月30日の締切までにやること|申請の流れと準備

第3回の申請受付は11月30日まで(予定)です。申請から助成金を受け取るまでの流れと、締切までに準備するものを順に解説します。

申請から助成金を受け取るまでの流れ

申請から助成金を受け取るまでの流れは、下の図のとおりです。

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図4 申請から助成金を受け取るまでの流れ

特に注意したいのは、次の2点です。

①交付決定の前に発注・契約したものは対象外

交付決定を受ける前に発注や契約をした経費は、助成の対象になりません。設備の発注は、交付決定の通知を受けてから行います。

②助成金は後払い

助成金は、取組が終わったあとの実績報告と検査を経て支払われる精算払いです。設備などの代金は、いったん自己資金で全額を支払う必要があります。

※申請額が100万円を超える場合は、書類審査のあとに面接審査があります。面接は原則対面で、出席できるのは代表者と申請書に載っている役員・従業員の最大2名です。100万円以下の場合は書類審査だけで、交付決定も早くなります。

締切までに準備するもの

申請には、時間のかかる準備があります。次の3つは、早めに取りかかると安心です。

①GビズIDプライム

申請はJグランツでしか受け付けておらず、その利用にはGビズIDプライムのアカウントが必要です。取得には、書類に不備がなければ1週間ほどかかります。

②見積書

税抜30万円以上の経費には見積書が必要です。税抜100万円以上の経費は、2社以上から見積書を取ります(相見積)。特段の理由で相見積を取れない場合は、代わりに見積限定理由書を出します(申請様式に含まれています)。見積書は、発行から3か月以内のものに限られます。

③決算書・納税証明書など

法人の場合は、直近2期分の決算書(損益計算書)や、法人事業税・法人都民税の納税証明書などが必要です。業績の見込みで申請する場合は、月次試算表も出します。申請書は、Excelの形式のまま提出します。

受付の時刻や提出する書類の一覧は、公式ページに掲載されています。

準備に時間がかかりそうなときは、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q1. 原材料の購入費は助成の対象になりますか?

取組に直接使って消費する原材料・副資材・部品は、対象になります。試作品に組み込む部品なども含まれます。普段の生産や販売に使う原材料、値上がり分の補填、原材料を置き換えるだけの購入は対象外です。

Q2. 本社が東京都外でも申請できますか?

都内に支店の登記があり、都内の事業所で実際に事業をしていれば申請できます。その場合は、都税事務所が発行する法人事業税と法人都民税の納税証明書が必要で、取組は都内で行います。

Q3. すでに発注・契約した設備は対象になりますか?

交付決定の前に発注・契約・購入したものは、対象になりません。助成対象期間の中で、契約から支払いまでを終える必要があります。

Q4. 第3回に間に合わなかった場合、次の募集はありますか?

第4回以降の募集予定は、公表されていません。最新の情報は、公式ページでご確認ください。

まとめ

中東情勢緊急対策助成金の要点は、次の3つです。

①値上がり分の補填ではなく、原材料費を減らす取組や価格転嫁の取組を助成する

②助成率は4/5、最大2,000万円で、賃上げは必須ではない

③対象は、業績が下がっている都内の中小企業

第3回の申請受付は、令和8年11月30日まで(予定)です。

東京都のほかの助成金は、次の記事で解説しております。

本記事では、中東情勢緊急対策助成金について解説しました。
次回の記事もお楽しみに!

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この記事を書いた人
奥山 大地

奥山 大地おくやま だいち

中小企業診断士/株式会社WellFlags 代表取締役

早稲田大学卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。アジア各国での海外勤務を通じて、中小企業の販路開拓や事業支援に携わる。その後、中小企業診断士となり、株式会社WellFlagsを設立。

これまで700社以上の補助金相談に対応し、経済産業省系や自治体の補助金の申請支援から、事業計画書の作成、採択後のフォローまで支援している。補助金の審査員を務めた経験もあり、審査の視点を踏まえて、制度を事業の成長につなげる提案を行っている。

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