2026年6月18日に、デジタル化・AI導入補助金2026年第1回交付決定結果が公表されました。
本補助金は、バックオフィスや現場管理のデジタル化を検討する建設業者にとって大変有用です。建設業は人手不足や2024年問題などの課題があるため、ソフト・クラウド・AIのDX投資に本補助金をどう活かすかが重要になります。
この記事では、デジタル化・AI導入補助金の2026年第1回交付決定結果を紹介するとともに、本補助金の概要やスケジュール、および建設業者が本補助金をどのように活用できるかを解説します。
第1回(1次締切)の交付決定結果まとめ
2026年6月18日に、第1回(1次締切)の交付決定結果が公表されました。結果は下表のとおりです。
| 申請類型 | 申請数 | 交付決定数 | 交付決定率(目安) |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 2,028 | 891 | 約43.9% |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 4,324 | 2,027 | 約46.9% |
| インボイス枠(電子取引類型) | 0 | 0 | - |
| セキュリティ対策推進枠 | 88 | 64 | 約72.7% |
| 合計 | 6,440 | 2,982 | 約46.3% |
申請が最も多いのはインボイス枠(インボイス対応類型)で全体の約7割、次に多いのが通常枠で全体の約3割となっています。
通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)の交付決定率はおおむね同じですが、インボイス枠(インボイス対応類型)のほうが若干高い結果でした。
セキュリティ対策推進枠は申請数は少ないですが、交付決定率は約72.7%と高くなっています。
旧制度の「IT導入補助金」の交付決定率と比べると、全体的にやや低めの結果となりました。
【旧制度との交付決定率の比較】
| 類型 | 交付決定率 | |
| IT導入補助金(第8次) | デジタル化・AI導入補助金 | |
| 通常枠 | 35.9% | 43.9% |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 45.0% | 46.9% |
| セキュリティ対策推進枠 | 52.9% | 72.7% |
制度の概要

デジタル化・AI導入補助金とは、ITツールの導入費用を補助することで、中小企業等の生産性向上をうながす制度です。ITツールの導入・運用関連費用に対して、最大450万円が支給されます。
以前は「IT導入補助金」という名称でしたが、2026年に名称変更されました。
基本的な制度内容は旧制度のIT導入補助金を踏襲していますが、今回はAI機能搭載ツールが補助対象として明確化されるなどの細かい変更がなされています。
類型は以下の5つで、旧制度との大きな変更点はありません。
- 通常枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス枠(電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠
以下で各類型の概要を解説します。
通常枠
通常枠は本補助金の基本となる類型で、ITツール導入のための経費の一部を補助します。会計・受発注・在庫・顧客管理など幅広い業務ソフトが対象です。
補助率と補助額は下表のとおりとなります。
| 補助率 | 原則1/2以内賃金が低い事業者は要件を満たすと2/3以内 | |
| 補助額 | 1プロセス以上 | 5万円以上150万円未満 |
| 4プロセス以上 | 150万円以上450万円以下 | |
補助額における「プロセス」とは、以下の7つの業務プロセスのことです。
- 顧客対応・販売支援
- 決済・債権債務・資金回収管理
- 供給・在庫・物流
- 会計・財務・経営
- 総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務
- その他業種固有のプロセス
- 汎用・自動化・分析ツール
これらの業務プロセスのうち、4つ以上を満たすツールは補助額が上がります。なお、7の「汎用・自動化・分析ツール」のみでの申請はできないのが注意点です。
補助対象は下表のとおりです。
| 分類 | 補助対象 |
|---|---|
| ソフトウェア | ● ソフトウェア購入費 ● クラウド利用料(最大2年分) |
| オプション | ● 機能拡張 ● データ連携ツール ● セキュリティ |
| 役務 | ● 導入・活用コンサルティング ● 導入・マニュアル設定 ● 導入研修 ● 保守サポート |
ソフトウェアの導入費用に加えて、それにともなうオプションや役務も補助対象になります。
インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応するITツールの導入経費を補助する類型です。
会計・受発注・決済機能のいずれかを持つソフトウェアが対象となります。ソフトウェアの導入にともなうオプション・役務も補助対象となるのは通常枠と同じです。
加えて、ソフトウェアの導入・運用のために新たなハードウェアが必要な場合は、それも補助対象になります。
ソフトウェアの補助率・補助額は下表のとおりです。
【ソフトウェアの補助率・補助額】
| 補助率 | 中小企業 | 50万円以下の部分:3/4以内50万円超の部分:2/3以内 | |
| 小規模事業者 | 50万円以下の部分:4/5以内50万円超の部分:2/3以内 | ||
| 補助額 | 350万円以下 | ||
そして、ハードウェアの補助率・補助額は下表のとおりとなります。
| 補助率 | PC・タブレット等 | 10万円以下 |
| レジ・券売機等 | 20万円以下 | |
| 補助額 | PC・タブレット等 | 1/2以内 |
| レジ・券売機等 |
インボイス枠(電子取引類型)
インボイス枠(電子取引類型)は、インボイス制度対応の受発注ツールを導入し、さらに発注先にそのツールを無償提供する場合の類型です。
補助率と補助額は下表のとおりです。
| 補助率 | 中小企業・小規模事業者等 | 2/3以内 |
| その他の事業者等 | 1/2以内 | |
| 補助額 | 350万円以下 | |
補助対象は、導入するツールのクラウド利用料の最大2年分となります。
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、サイバーセキュリティ対策のためのITツールの費用を補助する類型です。ツール利用料の最大2年分が補助対象となります。
この類型は、情報処理推進機構が認定する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト 」に記載のサービスのみが対象となるのが注意点です。
補助率と補助額は下表のとおりです。
| 補助率 | 小規模事業者 | 2/3以内 |
| 中小企業 | 1/2以内 | |
| 補助額 | 5万円~150万円 | |
複数者連携デジタル化・AI導入枠
複数者連携デジタル化・AI導入枠は、複数の事業者が連携してITツールを導入する際に、その費用を補助する類型です。
サプライチェーンを構成する事業者の集まりや、商店街・ショッピングモール等の商業集積地を構成する事業者の集まりなどが対象になります。
補助対象となる経費は以下のとおりです。
- 会計・受発注・決済機能のあるソフトウェア
- ソフトウェアに関連するハードウェア・オプション・役務
- 消費動向等分析経費
- 参画事業者のとりまとめにかかる事務費や専門家費など
消費動向等分析経費や、とりまとめにかかる事務費なども対象となるのが特徴です。
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建設業が「デジタル化・AI導入補助金」を活用するなら
省力化補助金は主に設備や機械の省人化に向いているのに対して、デジタル化・AI導入補助金はソフトウェア・クラウド・AIによる業務効率化に向いています。
建設業者がデジタル化・AI導入補助金を活用する例としては、主に以下のようなものが考えられます。
- 施工管理・工程管理システム
- 原価管理・見積・積算システム
- 勤怠・労務管理システム
- 受発注・請求書受領システム
これらのツールを導入したいなら、デジタル化・AI導入補助金の利用を検討するとよいでしょう。
施工管理・工程管理システム
施工管理・工程管理システムは、施工の進捗や図面、日報や現場写真などをデジタル化して、現場や事務所などの間で共有・管理できるITツールです。紙やエクセルでの管理より業務を効率化できます。
代表的な施工管理・工程管理システムには、「ANDPAD(アンドパッド)」「サクミル」「KANNA(カンナ)」などがあります。
原価管理・見積・積算システム
原価管理・見積・積算システムは、案件にかかる費用を計算して見積もりを出したり、実際にかかった原価と予算の比較や、利益の把握などを行うシステムです。
紙やエクセルでの管理より業務を効率化できるのに加えて、属人化の排除やミスの軽減などが期待できます。
代用的な原価管理・見積・積算システムには、「HELIOS(ヘリオス)」「ATLUS NEXT(アトラスネクスト)」「どっと原価」などがあります。
勤怠・労務管理システム
勤怠・労務管理システムは、従業員の出退勤・残業・休暇などを集計・管理するシステムです。給与計算や残業時間の管理などを効率化できます。
建設業は2024年に時間外労働の上限が規制されたため、勤怠・労務管理の効率化が強く求められる業種の一つです。
代表的な勤怠・労務管理システムには、「KING OF TIME」「ジョブカン勤怠管理」「奉行Edge 勤怠管理クラウド」などがあります。
受発注・請求書受領システム
受発注・請求書受領システムは、受発注や請求書の発行・受領を自動化するシステムです。業務の効率化やミスの軽減に加えて、インボイスや電子帳簿保存法への対応も簡単に行えます。
建設業者におすすめの受発注・請求書受領システムは、「ANDPAD受発注」「Bill One請求書受領」「invox受取請求書」などです。
省力化補助金との使い分け
システムを導入する際に、建設業が使いやすい補助金として省力化補助金(一般型)という制度があります。デジタル化・AI導入補助金と省力化投資補助金(一般型)は目的や補助対象が違うため、適切に使い分けることで、事業者にとって最適な制度を選ぶことが大切になります。
省力化投資補助金(一般型)はオーダーメイド性があるシステムを導入することが可能なのに対して、デジタル化・AI導入補助金はパッケージ販売されているツールのみが対象なのが重要な違いです。
両補助金の主な相違点をまとめると下表のようになります。
| 相違点 | 省力化投資補助金(一般型) | デジタル化・AI導入補助金 |
|---|---|---|
| 導入設備の選択肢 | オーダーメイド性があるシステム(自社独自に開発するシステムなど) | 登録されているITツールの中から選ぶ(パッケージ化されているツールが対象) |
| 設備の具体例 | 自社独自に開発した施工管理システムなど | 施工管理・原価計算・勤怠管理のパッケージ化されたITツールなど |
| 補助額の規模 | 最大1億円で大型の投資が可能 | 最大450万円(通常枠)で小~中規模の投資 |
建設業で省力化補助金(一般型)の活用をご検討されている方は以下の記事もご覧ください。
今後の公募スケジュール
2026年7月8日時点で公表されている、今後の公募スケジュールは下表のとおりです。複数者連携デジタル化・AI導入枠とそれ以外でスケジュールが違います。
【複数者連携デジタル化・AI導入枠以外の類型のスケジュール】
| 締切回 | 交付申請 締切日 | 交付決定日(予定) | 事業実施期限(予定) |
|---|---|---|---|
| 1次締切分(終了) | 2026年5月12日 | 2026年6月18日 | 2026年12月25日 |
| 2次締切分(終了) | 2026年6月15日 | 2026年7月23日 | 2027年1月29日 |
| 3次締切分 | 2026年7月21日 | 2026年9月2日 | 2027年2月26日 |
| 4次締切分 | 2026年8月25日 | 2026年10月7日 | 2027年3月31日 |
| 5次締切分 | 2026年9月29日 | 2026年11月9日 | 2027年4月30日 |
| 6次締切分 | 2026年10月30日 | 2026年12月10日 | 2027年5月31日 |
【複数者連携デジタル化・AI導入枠のスケジュール】
| 締切回 | 交付申請 締切日 | 交付決定日(予定) | 事業実施期限(予定) |
|---|---|---|---|
| 1次締切分(終了) | 2026年6月15日 | 2026年7月23日 | 2027年1月29日 |
| 2次締切分 | 2026年8月25日 | 2026年10月7日 | 2027年3月31日 |
| 3次締切分 | 2026年10月30日 | 2026年12月10日 | 2027年5月31日 |
スケジュールは変更される可能性があるため、応募の際は公式サイトで最新のスケジュールを確認しましょう。
申請のポイント・注意点
本補助金の申請のポイントや注意点は以下のとおりです。申請の際はこれらの点に留意しましょう。
- 登録されたツールしか補助対象にならない
- 申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要
- 目的に合った枠を選ぶ
- スケジュールは公式サイトで随時確認する
登録されたツールしか補助対象にならない
本補助金は、「IT導入支援事業者」によって登録されたツールしか補助対象になりません。登録されているツールは公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」で検索できます。
ITツール・IT導入支援事業者検索はこちらから:https://it-shien.smrj.go.jp/search/
申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要
本補助金の申請は専用の電子申請システムから行います。システムを利用するには「GビズIDプライムアカウント」というアカウントが必要なため、未取得の方は早めに取得しましょう。
取得はオンラインなら即日から数日、郵送なら1~2週間かかります。
目的に合った枠を選ぶ
本補助金は枠によって対象経費や補助率が異なるため、自社の目的に合った枠を選ぶことが大切です。
スケジュールは公式サイトで随時確認する
本補助金のスケジュールは随時更新されるため、公式サイトで最新のスケジュールを確認しましょう。
まとめ

最後に本記事の要点をまとめます。
- デジタル化・AI導入補助金2026年第1回は、合計6,440件の申請に対し2,982件が交付決定(46.3%)。
- 建設業は、施工管理・積算・勤怠・受発注などのDX化で本補助金を活用できる。
- 自社専用のシステム開発を行う場合は省力化補助金、パッケージ化されたITツールの導入はデジタル化・AI導入補助金が有効。
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それでは次回の記事もお楽しみにしていてください!


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