建設業が独立開業時に使える融資・補助金制度|具体的な資金調達方法についても解説!

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建設業の独立開業は資金がネックになることが多いため、適切な資金計画を立てることが重要です。

この記事では、創業期の建設業者の資金繰りに有用な、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」、自治体の制度融資、および小規模事業者持続化補助金〈創業型〉について解説し、これらを有効活用するモデルケースを紹介します。

はじめに|建設業の独立開業はなぜ「資金」がネックになるのか

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建設業の独立開業は、資金がネックになることが少なくありません。理由としては、初期投資が大きいことや、入金サイトが長く支払いが先行することなどが挙げられます。

初期投資が大きい

建設業は開業時の初期投資が大きい業種です。機械設備・資材・車両など、事業を始めるには多くのモノが必要になります。

リースや中古品を利用すればある程度圧縮できますが、それでも数百万円程度はかかることがほとんどです。

入金サイトが長く、支払いが先行する

建設業は入金サイトが長く支払いが先行する傾向があるため、開業時に十分な運転資金を確保しておく必要があります。

また、建設業は工期が長い傾向があり、入金は工事が完了してからになるのが一般的です。一方、工事に必要な材料費・外注費・労務費などは先払いになるため、資金が枯渇しやすくなります。

さらに、売上を伸ばすには大規模な工事を受注する必要がありますが、大規模な工事はその分必要経費の立替額が大きく、工期も長くなる傾向があります。

建設業は売掛金の入金サイトが長い傾向があるのも問題点です。入金が工事完了の1~2ヶ月後になることが多く、これも資金繰り悪化の要因となります。

建設業は黒字倒産が起こりやすい業種の一つ

上記のような理由から、建設業は黒字倒産が起こりやすい業種の一つとされています。黒字倒産とは、損益計算書上では利益がプラス(黒字)なのに、現金が足りず事業が継続できなくなることです。

収益は現金が支払われる前の売掛金が発生した時点で計上されるため、入金サイトが長いと黒字なのに現金が足りない事態が起こり得ることになります。

初期投資が大きく黒字倒産リスクが高い建設業者では、公的制度の活用により資金繰りの安定化を図るのが大変有用です。

創業時に使える資金調達制度は大きく3つ

創業時に使える主な資金調達制度は以下の3つです。これらの制度の特徴と違いを理解することが大切になります。

  1. 日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
  2. 自治体の制度融資(信用保証協会付き融資)
  3. 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉

下表は各制度の役割の違いを比較したものです。

〇開業資金を調達する制度〈融資・返済あり〉

制度種類主な使い道特徴
新規開業・スタートアップ支援資金融資(返済あり)設備資金・運転資金創業者向けの定番。無担保・無保証人での融資が可能
自治体の制度融資融資(返済あり)設備資金・運転資金自治体による利子補給・保証料補助があることが多い

〇販路開拓・成長に使う制度〈補助金・返済不要〉

制度種類主な使い道特徴
小規模事業者持続化補助金〈創業型〉補助金(返済不要)販路開拓の経費最大250万円。事業完了後に後払いで交付される

補助金は事業完了後に後払いで支払われるため、開業資金の調達手段としては利用できないのが注意点です。まず融資で開業資金を確保し、その後補助金を活用して販路を開拓していく流れになります。

日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、開業資金の調達手段の定番といえるものです。制度の内容を理解して、建設業の資金調達に有効活用しましょう。

制度概要

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、これから事業を始める方や、始めて間もない方のための融資制度です。2024年3月までは「新規開業資金」という名称でしたが、統合などを経て2025年4月に現名称へ変更されています。

制度概要は下表のとおりです。

対象新たに事業を始める方事業開始後おおむね7年以内の方
融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)
担保・保証人無担保・無保証人が中心
金利基準利率:年利3.45%~5.20%(令和8年6月1日現在 )条件により優遇あり(2%台も可能)
返済期間設備投資:20年以内(据置期間5年以内)運転資金:10年以内(据置期間5年以内)
自己資金要件原則撤廃

制度の対象者

制度の対象となるのは、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方です。過去に廃業したことがある方でも利用できます。

融資限度額

融資限度額は7,200万円で、そのうち運転資金は4,800万円です。ただしこれは最大の額で、実際に借りられるのは、創業資金の総額から自己資金を引いた金額程度とされています。

担保・保証人

担保・保証人なしでの申し込みが可能です。ただし、以下のような場合は担保・保証人を求められることがあります。

  • 申込額が大きい
  • 事業計画に懸念がある
  • 信用情報に問題がある
  • 自己資金が少ない

金利

金利はベースとなる基準利率があり、条件を満たすとより低い特別利率が適用されます。利率は随時改定されるため、申込時に最新の利率を確認しておきましょう。

令和8年6月1日現在の基準利率は3.45%~5.20%です。

返済期間

返済期間は、設備投資が最長20年で運転資金が最長10年、据置期間はともに5年以内です。据置期間中は元本を据え置いて利息のみ支払います。

なお、廃業歴がある方は運転資金の返済期間が最大15年になります。

自己資金要件

旧制度の「新規開業資金」では、創業資金総額の10%以上の自己資金を準備する要件がありましたが、現行制度ではこの要件は撤廃されています。

ただし、自己資金の額や貯め方が、審査の重要なポイントの一つであることは変わりません。

建設業の審査で見られる3つのポイント

新規開業・スタートアップ支援資金の審査では、事業計画が現実的で実現可能性があるか、自己資金が十分あるかなどが重要です。

建設業では、以下の3つのポイントが重視されます。

  1. 勤務時代の経験・資格との整合性
  2. 受注見込みの具体性
  3. 自己資金の形成過程

勤務時代の経験・資格との整合性

勤務時代に身につけた経験・知識や、保有資格が事業内容と合っていることが大切です。建設業は幅広いので、その中でなぜこの事業を始めようとするかについて、整合性のある説明ができるようにしましょう。

資格については、施工管理技士や職長・安全衛生責任者などが、建設業の創業では重要になります。

受注見込みの具体性

受注見込みは現実的で具体的である必要があります。取引予定先や見込み金額について、できるだけ具体的に記載しましょう。発注予定であることを示す発注内示書があれば、より具体性が高まります。

自己資金の形成過程

自己資金は金額だけでなく、どのように貯めたかも通帳履歴からチェックされます。計画的にコツコツ貯めた自己資金であることが大切です。

親族や消費者金融などから一時的に借りて、自己資金を多く見せるいわゆる「見せ金」は、評価されないことも多いので、注意が必要です。

申込みの流れ

申込みの大まかな流れは以下のとおりです。流れを理解して不備がないように手続きを進めましょう。

  1. 創業計画書の作成
  2. 必要書類の準備
  3. 公庫へ申込み
  4. 面談
  5. 審査・融資実行

創業計画書の作成

日本政策金融公庫が提供している創業計画書のフォーマットは、A3用紙1枚に創業動機や資金計画などを記載する形となっています。

創業計画書の記載内容は、具体的で根拠があることが重要です。売上計画や資金計画について、なぜそのように計画したのか説明できるようにしましょう。

必要書類の準備

申込み時の主な必要書類は以下のとおりです。

  • 創業計画書
  • 決算書・確定申告書
  • 本人確認書類
  • 通帳写し
  • 設備見積書
  • 許認可証
  • 日本公庫電子契約サービス利用申込書

面談時には通帳や本人確認書類に加えて、納税証明書や公庫以外の借入の返済予定表などの持参を求められることがあります。

公庫へ申込み

申込みは日本政策金融公庫HPの「インターネット申込」から行うと便利です。公庫の支店窓口での申込み、および郵送申込みも可能となっています。

面談

面談では、創業計画書の内容を自分の言葉で説明します。その際、事業内容や資金計画などについて質問されるので、矛盾のない説明ができるようにしておきましょう。

審査・融資実行

面談が終わると、およそ1~2週間後に結果が通知され、その後数日から1週間程度で融資が実行されます。申込から融資実行までは、トータルで1~1.5ヵ月程度かかるのが一般的です。

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自治体の制度融資(信用保証協会付き融資)

公庫融資以外で創業時に使える資金調達制度として、自治体の制度融資があります。制度融資の仕組みや公庫融資との違いを理解して、適切に使い分けることが大切です。

制度融資の仕組み

自治体の制度融資とは、自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携して行う融資のことです。

三者の役割は以下のとおりです。

金融機関融資を行う
信用保証協会返済できなくなった時に代わりに金融機関へ弁済する(代位弁済)
自治体利子や保証料の補助など

信用保証協会や自治体がサポートすることで、実績のない創業者でも民間金融機関から融資を受けやすくなります。

例えば、東京都の制度融資「創業」では、創業予定または創業5年未満の中小企業者に対して、最大3,500万円を融資します。その際、保証料の3分の2補助、および融資利率0.4%優遇(条件を満たす場合のみ)が実施されます。

制度融資は各自治体が実施しており、内容は自治体によって違います。原則として自社の所在地の都道府県、または市区町村の制度しか利用できません。なお、都道府県と市区町村の制度融資は原則として併用できるため、組み合わせを検討するのも有用です。

公庫融資との違い・使い分け(比較表)

制度融資と公庫融資の違いを表にすると以下のようになります。

比較項目公庫融資(新規開業・スタートアップ支援資金)制度融資
窓口日本政策金融公庫民間金融機関(相談は自治体や保証協会でも可能)
保証協会への保証料不要必要(自治体の補助がある場合が多い)
金利水準創業者向けの引き下げあり利子補給により低水準になる場合あり
スピード比較的早い(1〜1.5か月程度)三者が関与するためやや時間がかかる傾向
地域との関係地元金融機関との取引実績ができる

制度融資は地元の金融機関から融資を受けるため、早い段階で地元金融機関との取引実績ができるのも利点です。関係を構築することで、開業後の追加融資先や経営相談窓口として活用できます。

協調融資の活用もおすすめ

大型の資金調達を行いたい場合は、協調融資を利用する手段もあります。

協調融資とは複数の金融機関が連携して同時に融資を行うことで、公庫融資と制度融資でも利用可能です。公庫と民間金融機関の両者から融資を受けることで、単独では難しい大型の融資が可能となります。

小規模事業者持続化補助金〈創業型〉

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小規模事業者持続化補助金は、創業間もない小規模事業者の販路拡大などを支援する補助金です。

制度概要

本補助金の制度概要は下表のとおりです。

補助上限額● 原則200万円
● インボイス発行事業者は要件を満たせば250万円
補助率3分の2
対象創業1年以内の小規模事業者
補助対象経費機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料 、委託・外注費

建設業での活用例

建設業では以下のような活用例が考えられます。

  • 建設機械・工具の導入
  • 施工事例を掲載したホームページの制作(元請・施主からの信頼獲得)
  • 会社案内・チラシ・看板の制作(地域認知度の向上)
  • 建設業関連の商談会の参加費用

機械や工具の導入はもちろん、販路拡大という点ではホームページ制作やチラシ・看板等の制作なども重要な活用例となります。

また、オンライン展示会や商談会の費用も対象となるので、積極的な活用が望まれます。

注意点

補助金は融資とは違う制度なので、注意点を踏まえて適切に利用することが大切です。

本補助金においては、特に以下のような点に注意しておきましょう。

  • 補助金は後払い
  • 広告費とウェブサイト関連費用は上限30万円で単独申請不可
  • 交付決定前の経費は対象外
  • 採択の成否は経営計画書の質が鍵

補助金は後払い

補助金は融資と違い、対象事業が終わった後に支払われます。よって、対象事業を遂行するための経費は、つなぎ融資などで別途調達して一旦立て替えなければなりません。

広告費とウェブサイト関連費用は上限30万円で単独申請不可

本補助金の上限額は最大250万円ですが、広告費とウェブサイト関連費用は上限が30万円となっています。また、広告費やウェブサイト関連費用単独での申請はできないので注意しましょう。

交付決定前の経費は対象外

補助対象経費に関する発注や契約などは、補助金交付決定通知書に記載された「交付決

定日」が来てから行わないと、補助対象外となるので注意しましょう。

例えば、交付決定日より前に補助対象となるHPを作成してしまった場合は、補助対象外となってしまいます。

採択の成否は経営計画書の質が鍵

本補助金の採択の成否は、経営計画書の質が鍵となります。

公募要領では、審査項目として以下の点が挙げられています。これらの項目を満たすように経営計画書を作成しましょう。

審査項目概要
自社分析の妥当性自社や自社製品の強み・弱みを把握しているか
経営方針・目標と今後のプランの適切性市場や顧客ニーズをとらえたプランか
補助事業計画の有効性計画が具体的で実現可能性が高いか
積算の透明・適切性事業費の見積もりは正確か

融資と補助金の併用がメリットが高い組み合わせ

融資と補助金の併用は、まず融資で開業資金を確保し、その後に補助金で販路開拓を加速するとメリットが高くなります。

モデルケース|内装工事業で独立するAさんの場合

モデルケースとして、内装工事業で独立するAさんの場合を見てみましょう。

  1. 【開業前】自己資金200万円+公庫融資500万円で工具・車両の資金や運転資金を確保
  2. 【開業時】自治体の制度融資300万円を追加調達して運転資金に厚みを持たせる
  3. 【開業後】持続化補助金〈創業型〉が採択され施工事例サイト構築や営業資料作成に活用
  4. 【1年後】HP経由の問い合わせと元請紹介で受注が安定
  5. 受注の安定により追加融資の相談もスムーズに進む

創業期の建設業者は、長い支払いサイトなどによる運転資金の枯渇や、特定の元請けに依存しすぎる営業力の不足などが問題になることが多いです。

そこで、上記のモデルケースのように融資と補助金を適切に活用すれば、こういった問題をクリアし経営を軌道に乗せることができます。

まとめ|融資も補助金も「事業計画書の質」がカギ

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最後に、今回紹介した融資と補助金の要点を下表にまとめておきます。

融資・補助金要点
日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金創業融資の本命。無担保・無保証人で利用しやすい。
自治体の制度融資利子補給・保証料補助で低コスト。公庫との協調融資も可能。
小規模事業者持続化補助金〈創業型〉最大250万円で返済不要。販路開拓に活用できる。

融資も補助金も、成否を分けるのは事業計画書(経営計画書)の質です。自身が持つ経験や技術を、数値的な根拠がある計画として落とし込むことが大切になります。

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それでは次回の記事もお楽しみにしていてください!