【2026年度】省エネ補助金「工場・事業場型」を徹底解説

【2026年度】省エネ補助金「工場・事業場型」を徹底解説

電気代や燃料費の高騰が続くなか、省エネ設備への投資を国が後押しするのが省エネ・非化石転換補助金です。この補助金には、国の指定する高効率設備を1台から入れ替えられる設備単位型と、工場・事業場の全体をまとめて省エネ化する工場・事業場型の2つの申請タイプがあります。本記事では、大型の投資に向く工場・事業場型に絞って、4つの事業区分・補助率・上限額・省エネ要件を、2026年度(令和7年度補正予算)の公募要領の数値ベースで整理します。工場・事業場型は中小企業なら最大2/3、上限15億円(非化石転換は20億円)と支援が手厚い一方、省エネルギー率や投資回収年数といった要件があり、計画づくりは設備単位型より重くなります。2次公募の締切は7月9日です。自社が狙える事業区分を見極めましょう。また、「エネルギー需要最適化型(Ⅳ)」についても、工場・事業場全体の省エネ計画を管理・高度化するための取組であるため、あわせて解説いたします!

この補助金の基本情報

項目内容
正式名称令和7年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
今回扱う申請タイプ工場・事業場型(事業区分Ⅰ)、エネルギー需要最適化型(事業区分Ⅳ)
事業区分先進枠/一般枠/中小企業投資促進枠/サプライチェーン連携枠(2026年新設)
補助率1/3〜2/3以内(中小企業者等は最大2/3、大企業・その他は1/2〜1/3。投資回収年数が短い事業は最小1/4以内)
補助上限額15億円(非化石転換は20億円)/事業全体 ※エネルギー需要最適化型は1億円
補助下限額100万円/事業全体 ※エネルギー需要最適化型は30万円
補助対象経費設計費・設備費・工事費
2次公募期間2026年6月1日(月)〜7月9日(木) ※交付決定は9月上旬予定、事業完了は2027年1月31日まで

※本記事は2026年6月時点の公募要領(2次公募)に基づいています。制度内容・補助率・スケジュール等は変更される場合があるため、最新の情報はSIIの特設サイト・公募要領で必ずご確認ください。

〇特設サイト

省エネ・非化石転換補助金とは?まず2つの申請タイプの違い

省エネ・非化石転換補助金は、正式名称を令和7年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金といい、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が大日本印刷(DNP)との共同事業体として執行する制度です。電力や燃料の価格高騰が続くなか、省エネルギー性能の高い設備への更新や、化石燃料から非化石エネルギーへの転換を進める企業を、大型の予算で支援します。

この補助金には申請の入口が大きく2つあります。ひとつは国の指定する高効率設備を1台単位から更新できる設備単位型、もうひとつが本記事のテーマである工場・事業場型です。工場・事業場型は、工場や事業場の全体でエネルギー管理を一体に行いながら、複数の設備や生産ラインをまとめて省エネ化する企業に向いた、大型投資向けのタイプです。対象設備の考え方・補助率・上限額・計画づくりの重さが設備単位型とは大きく異なるため、まずは両者の違いを下表で確認しましょう。

観点工場・事業場型(今回のテーマ)設備単位型
対象の考え方工場・事業場の全体でまとめて省エネ(複数設備・生産ラインの更新)SIIの指定設備を単位で更新(1台から)
補助率1/2〜2/3(中小は最大2/3、大企業は1/2〜1/3)1/3〜1/2(新設の枠は1/5)
補助上限額15億円(非化石転換は20億円)従来枠1億円/GX枠3億円
補助下限額100万円30万円
主な要件省エネ率5〜30%等+投資回収年数。計画が重い省エネ率10%等+指定設備。比較的シンプル
向く企業大型投資・工場全体の最適化ピンポイント更新・まず1台から

▶ 設備単位型(1台から・手続きシンプル)について詳しくはこちら:

工場・事業場型はこんな企業・ケース向け

工場・事業場型は、エネルギー管理を一体で行っている工場・事業場で、機械設計を伴うオーダーメイド型設備やSIIが公表する指定設備へ更新し、工場・事業場の全体で一定以上の省エネルギー効果を出す事業を支援する枠です。設備単位型が1台からの更新で使えるのに対し、工場・事業場型は複数設備や生産ライン全体をまとめて最適化する前提のため、補助の上限が大きく補助率も手厚い一方で、省エネルギー量の計算や投資回収年数の確認、場合によっては省エネ法上の中長期計画の作成といった、計画づくりの負担は大きくなります。次のような企業・ケースに向いています。

  • 生産ライン全体や複数の設備をまとめて更新し、工場の省エネを一気に進めたい
  • 投資額が大きく(数千万円から数億円規模)、設備単位型の上限では足りない
  • 燃料の転換(非化石化)もあわせて検討している
  • 省エネルギー率を一定以上引き上げられる見込みがある

逆に、老朽化した空調やボイラーを1台だけ高効率機に替えたいといったピンポイントの更新であれば、下限30万円から使える設備単位型のほうが手続きは軽く済みます。

補助金申請プロサポート|中小企業の成長を支援 【2026年度】省エネ補助金「工場・事業場型」を徹底解説

※ 掲載イメージ。当社メディアライブラリの既存素材(POINT写真)を流用。

工場・事業場型の4つの事業区分と補助率・上限

工場・事業場型には、先進枠・一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠の4つの事業区分があります。どれを選べるかは好きに決められるわけではなく、導入する設備の性能や先進性、達成できる省エネルギー率の水準、投資回収年数の3点でほぼ決まります。補助率は中小企業者等で最大2/3(先進枠)、その他の枠でも1/2が基本ですが、投資回収年数が短い事業は補助率が1段階下がる点に注意が必要です。補助の上限はいずれの区分も15億円(非化石転換を行う場合は20億円)、下限は100万円です。各区分の対象と補助率・上限を下表にまとめます。

事業区分対象・特徴主な省エネ要件(いずれか)補助率上限※単年度事業
先進枠外部審査委員会が採択した先進設備・システムへ更新省エネ率+非化石割合増加率30%以上/省エネ量1,000kl以上 等中小企業:2/3大企業:1/215億円(非化石20億円)
一般枠オーダーメイド型設備・指定設備へ更新省エネ率+非化石10%以上/省エネ量700kl以上 等中小企業:1/2(投資回収7年未満は1/3)大企業:1/3(同7年未満は1/4)15億円(非化石20億円)
中小企業投資促進枠同上(中小企業者等の専用枠)省エネ率+非化石7%以上/省エネ量500kl以上 等中小企業:1/2(投資回収5年未満は1/3)大企業:対象外15億円(非化石20億円)
サプライチェーン連携枠(2026新設)4者以上が共同で立案した設備更新計画各事業者 省エネ率+非化石5%以上中小企業:1/2(投資回収5年未満は1/3)大企業:1/3(同7年未満は1/4)15億円(非化石20億円)

※複数年度事業や連携事業の場合は補助上限額が増加刷る可能性があります。

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先進枠は、資源エネルギー庁の技術評価委員会で決定した審査項目に沿ってSIIが採択した先進設備・システムへ更新する区分で、補助率が最も手厚くなります。一般枠と中小企業投資促進枠は、オーダーメイド型設備や指定設備への更新が対象で、求められる省エネルギー率の水準と投資回収年数の要件が異なります。中小企業投資促進枠は中小企業者等の専用枠で、大企業は対象外です。サプライチェーン連携枠は2026年に新設された区分で、サプライチェーン上の4者以上が共同で立てた設備更新計画を支援します。なお、複数年度にわたる事業は上限額が別建て(30億円、非化石転換は40億円/事業全体)になるなど、単年度事業とは枠組みが異なります。

もう一つの選択肢:エネルギー需要最適化型(エネマネ)

工場・事業場型(事業区分Ⅰ)とは別に、同じ公募要領のなかにエネルギー需要最適化型(事業区分Ⅳ)という枠があります。これは設備そのものを更新するのではなく、SIIに登録されたEMS(エネルギーマネジメントシステム)を導入し、設備や工程ごとのエネルギー使用状況を見える化して、運用改善で省エネを図る区分です。2026年からは、既存の事業所だけでなく、新築・新設の事業所や新しい製造ラインへのEMS導入も対象になりました。

項目内容
対象SIIに登録されたEMSを導入し、設備・工程単位でエネルギーを把握・表示・分析して運用改善を行う事業
要件原油換算量ベースで2%改善を目安。EMS活用計画の作成と成果の公表。単独での申請も可能
補助率中小企業者等 1/2以内 / 大企業 1/3以内
上限・下限上限1億円/下限30万円(いずれも事業全体)

工場・事業場型(Ⅰ)とエネルギー需要最適化型(Ⅳ)は組み合わせて申請することもでき、その場合は各区分の上限額を合算した額が事業全体の上限になります。

対象になる設備と補助対象経費

工場・事業場型で対象になる設備は、機械設計を伴う、あるいは事業者の用途に合わせて設計・製造するオーダーメイド型設備と、SIIがエネルギー消費効率等の基準を定めて公表した指定設備の2つが中心です。両方を組み合わせたり、複数の指定設備をまとめて更新したりする事業も対象になります。先進枠の場合は、これらに加えて、外部審査委員会が採択した先進設備・システムが対象です。

あわせて2026年からは、工場・事業場の全体での省エネ要件に加えて、更新する設備単位ごとにも省エネ要件を満たすことが求められるようになりました。指定設備の場合は、省エネルギー率10%以上、省エネルギー量1kl以上、経費当たり省エネルギー量1kl/千万円以上のいずれかを満たす必要があります。

補助対象経費は、設計費・設備費・工事費です。設備単位型では原則として設備費が中心でしたが、工場・事業場型では工事費も対象になります。なお、交付決定の前に発注・契約した設備は補助の対象外となるため、必ず交付決定を待ってから発注してください。

申請要件(省エネ要件と投資回収年数)

工場・事業場型では、申請単位で原油換算量をベースに、事業区分ごとに定められた省エネルギー効果の要件のいずれかを満たす必要があります。具体的には、省エネルギー率+非化石割合増加率、省エネルギー量+非化石使用量、エネルギー消費原単位改善率のいずれかで、求められる水準は区分によって異なります。先進枠は30%以上、一般枠は10%以上、中小企業投資促進枠は7%以上、サプライチェーン連携枠は1者あたり5%以上が目安です。

あわせて投資回収年数の要件もあります。先進枠と一般枠は5年以上、中小企業投資促進枠は3年以上、サプライチェーン連携枠は中小企業者等が3年以上・大企業等が5年以上です。投資回収年数が短い事業は補助率が1段階下がる仕組みになっているため、補助率を確保するには、この年数を意識した計画設計が重要になります。

このほか、エネルギー使用量が1,500kl以上の工場・事業場や、中小企業に該当しない会社法上の会社は、省エネ法に基づく中長期計画書等に記載された事業であることが求められます。大企業が申請する場合は、省エネ法の事業者クラス分け評価制度でSクラスまたはAクラスに該当するなど、追加の要件を満たす必要があります。

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先進枠・一般枠・中小企業投資促進枠・連携枠、どれを狙う?

先進枠は、外部審査委員会が採択した先進設備・システムへ更新する区分です。中小企業者等は2/3、大企業は1/2と補助率が最も手厚く、対象設備の条件に合えば第一候補になります。

一般枠は、オーダーメイド型設備や指定設備への更新で、省エネルギー率10%以上などを満たす標準的な区分です。中小企業者等は1/2(投資回収年数が7年未満の場合は1/3)、大企業は1/3(同じく7年未満は1/4)です。

中小企業投資促進枠は、中小企業者等の専用枠で、求められる省エネルギー率が7%以上と一般枠より緩やかです。補助率は1/2(投資回収年数が5年未満の場合は1/3)で、中小企業で一般枠の水準に届きにくいときの受け皿になります。

サプライチェーン連携枠は、2026年に新設された区分で、サプライチェーン上の4者以上が共同で立てた更新計画を支援します。各者が省エネルギー率5%以上を満たせばよく、取引先と足並みをそろえて省エネを進めたい場合に向きます。

自社がどの区分の対象になるかは、導入する設備の種類と達成できる省エネルギー率、投資回収年数で決まります。複数の区分の候補になる場合は、補助率と上限、省エネ要件の満たしやすさを見比べて選びましょう。

2026年度の公募スケジュールと申請の流れ

工場・事業場型は複数回に分けて公募が行われます。2次公募の期間は2026年6月1日から7月9日まで、交付決定は9月上旬の予定です。単年度事業の場合、事業完了は2027年1月31日まで、実績報告は事業完了日から30日以内、または2027年2月5日のいずれか早い日までに行います。

申請の大まかな流れは次のとおりです。

  1. SIIのホームページでアカウント登録を行う
  2. 更新する設備と省エネルギー効果を確認し、省エネ計算と投資回収年数を算定して実施計画書等を作成する
  3. 補助事業ポータルに必要事項を入力し、申請書類を出力する
  4. 作成した申請書類をそろえてSIIへ郵送する(2次公募は2026年7月9日17時必着)
  5. 審査・交付決定(必要に応じて個別ヒアリング)
  6. 交付決定後に契約・発注・設置を行い、中間報告・実績報告を行う
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くり返しになりますが、交付決定の前に契約・発注した費用は補助の対象になりません。省エネルギー量の計算や中長期計画の作成には時間がかかるため、2次公募の締切である7月9日に向けて、対象設備の確認と省エネ計算は早めに着手しましょう。

よくある質問(FAQ)

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Q1. 工場全体ではなく、一部の設備更新でも工場・事業場型で申請できますか?

工場・事業場型は、複数の設備や生産ラインをまとめて更新し、工場・事業場の全体で省エネ要件を満たす前提の枠です。2026年からは設備単位でも省エネ要件が課されます。1台だけのピンポイント更新であれば、下限30万円から使え、手続きも軽い設備単位型のほうが向いています。

Q2. 中小企業ですが、補助率はどのくらいになりますか?

先進枠なら2/3、一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠は1/2が基本です。ただし投資回収年数が基準より短い事業は1段階下がり1/3になります。どの区分に当てはまるかで変わるため、導入設備と省エネ率を確認して判断します。

Q3. 大企業でも申請できますか?

申請は可能ですが、省エネ法の事業者クラス分け評価制度でSクラスまたはAクラスに該当するなど、追加の要件を満たす必要があります。また、中小企業投資促進枠は中小企業者等の専用枠のため、大企業は対象外です。

Q4. 設備単位型と工場・事業場型は、どちらを選べばいいですか?

工場全体をまとめて更新する大型投資で、省エネ率を一定以上引き上げられるなら工場・事業場型、1台から手続きをシンプルに始めたいなら設備単位型が向きます。設備単位型の詳細は別記事で解説しています。

Q5. いつまでに申請すればいいですか?

2次公募は2026年7月9日締切です。交付決定の前に発注はできないため、締切前に申請を済ませ、交付決定を待って発注する段取りが必要です。

まとめ

補助金申請プロサポート|中小企業の成長を支援 【2026年度】省エネ補助金「工場・事業場型」を徹底解説

工場・事業場型は、工場や事業場の全体をまとめて省エネ化する、大型投資向けの枠です。中小企業者等なら最大2/3、上限15億円(非化石転換は20億円)と支援が手厚く、先進枠・一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠の4区分から、設備の性能・省エネ率・投資回収年数に応じて選びます。一方で、省エネルギー量の計算や中長期計画の作成、交付決定前の発注禁止など、設備単位型より計画づくりの負担は大きくなります。2次公募の締切である7月9日に向けて、狙う区分と対象設備、省エネ計算を早めに固めることが採択への近道です。

当社では、省エネ補助金(工場・事業場型)の対象設備の確認から省エネ計算、事業計画や申請書類の作成までを一貫して支援しています。自社の設備が対象になるか、どの区分で出すべきか相談したいという方は、お気軽に無料相談をご利用ください。なお、1台から使える設備単位型については別記事で詳しく解説しています。

▶ 設備単位型はこちら:

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それでは次回の記事もお楽しみにしていてください!